業績好調のエス・エム・エス(SMS)、気になる四半期利益のゆがみ!

 介護職や看護師(ナース)向けの人材紹介を中心にビジネスをおこなっているエス・エム・エス(SMS)。業績は全体的には好調に見えるものの、エス・エム・エスは四半期ベースの営業利益に大きなゆがみがある。1Q(4月~6月)、4Q(1月~3月)で年間の営業利益の8割を稼ぐビジネスモデル。2021年3月期の第三四半期の営業利益は2.7億円(前年同期は14百万円の黒字)にとどまり、利益ベースではあまり稼げていない。エス・エム・エスの業績と株価の行方は?

医療・介護分野の人材仲介サービス展開のエス・エム・エス(SMS)、つづく高収益!M&A活用(2020年10月31日投稿)

■基本情報(2021年1月29日時点)

  • 株価:3,885円(10年来高値:4,225円)
  • 時価総額:3,384億円
  • 予想PER:70.7倍
  • PBR:16.17倍
  • 予想配当利回り:0.21%
  • 自己資本比率:40.5%
  • 会計基準:日本基準

■エス・エム・エスの業績は?

 エス・エム・エスの2021年3月期の第三四半期の売上高は264億円(前年同期比+4%増)、営業利益32.2億円(前年同期比+54%増)の増収増益となった。エス・エム・エスの売上総利益率は+89.3%、営業利益率は+12.2%と高い。営業外収益として持分法による投資利益が+11億円あり、営業利益と経常利益の差額の大きな要因となっている。

■エス・エム・エスの事業内容は?

 エス・エム・エスは医療・介護向けのキャリア、カイポケ(介護事業者向けの経営支援プラットフォーム事業)、海外事業を主におこなっている。医療・介護向けのキャリアは、介護関係や看護(ナース等)の人材紹介が中心だ。たとえば、「ナース専科」という求人サイトを運営している。エス・エム・エスはセグメント別の損益を公表していないものの、四半期ベースの利益が1Qと4Qに偏っていることを見ると、入社時ベースで売上計上するキャリアが利益の大半を占めていると思われる。

 エス・エム・エスの売上高の伸びを引っ張っているのはカイポケ事業だ。前年同期比で+22%(35.3億円→43.0億円)の伸びとなり、エス・エム・エスの事業規模の成長を支えている。ただし、カイポケで利益が出ているかどうかは不明だ。新規事業としてはICT(情報通信技術)を活用した遠隔保健指導、リモート産業保健に取り組んでいる。

■エス・エム・エスの株価の行方は?

 エス・エム・エスの時価総額は約3,400億円。介護・医療という分野に該当するためか事業価値の評価が高い。人材紹介を主に行っているセグメントで見ると、同規模のエン・ジャパン(売上高410億円、営業利益61億円)の時価総額は1,500億円、JACリクルートメント(売上高210億円、営業利益49億円)の時価総額は770億円。エス・エム・エスは同業他社よりも高い評価を受けている。

 エス・エム・エスで気になるのは、外国法人の保有率が44%前後となっている点だ。2020年3月のコロナショックからの反転相場は外国人の買いが進んだ結果。エス・エム・エスは外国人の保有率が高いため、売られるときは大きく下げそうだ。エス・エム・エスにかぎらず、外国法人の保有率が50%を超えている企業は多く、外国人の動向次第で大きく下落する銘柄がでてきそうだ。

(画像3)エス・エム・エスの株価推移

以 上

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