J-POWER(Jパワー)、業績修正で「未定」へ、JEPX価格高騰の影響は不明!

 水力、火力、風力などの発電事業を中心にビジネスをおこなっているJパワー(J-POWER、電源開発)。2021年1月29日の決算発表で2021年3月期の業績見通しを「未定」に変更(従来は売上高8,230億円、営業利益740億円の見通し)。日本卸電力取引所(JEPX)のスポット取引価格高騰の影響が精査できず、業績見通しを取り下げる結果となった。大手電力会社やガス会社、新電力などJEPXの価格高騰で業績が振り回されるなか、Jパワーの上方修正が公表されると見られていたものの、ひとまず先送りとなった。今後の株価の行方はどうなるのか?

石炭・LNG火力と再生可能エネルギーのJパワー(電源開発)、割安株の行方は?(2021年1月16日投稿)

■基本情報(2021年1月29日時点)

  • 株価:1,705円(10年来高値:4,690円)
  • 時価総額:3,121億円
  • 予想PER:6.1倍
  • PBR:0.38倍
  • 予想配当利回り:4.39%
  • 自己資本比率:29.1%
  • 会計基準:日本基準

■Jパワーの業績は?

 Jパワーの2021年3月期の第三四半期の売上高は6,063億円(前年同期比△10.3%減)、営業利益749億円(前年同期比+9.8%増)の減収増益となった。売上高は前年同期で大きくマイナスになったものの、設備保全コストの大幅減210億円などにより営業利益は前年同期比で+67億円となった。為替差損110億円を吸収しての増益となった。

■Jパワーの業績の行方は?再生可能エネルギー?

 この1年の株価推移をみると、脱炭素社会や再生可能エネルギーをテーマにレノバ、エフオン、イーレックス、グリムスなどのグリーンエネルギー銘柄の株価は上昇した一方、Jパワーは半値くらいまで株価が下がる展開となった。2020年12月後半からの電力需給のひっ迫で状況は一転し、JEPXスポット取引価格が高騰。再生可能エネルギーだけに頼るのは危険という雰囲気もでて一気にJパワーの株価は上昇トレンドに転じている。

 そもそも、Jパワーは水力発電、風力発電などの再生可能エネルギーを展開しており、将来的には脱炭素社会を目指した電源構成(電力発電割合)を計画している。Jパワーはグリーンエネルギーを目指す企業であるものの、株式市場では全く評価されない1年となっていた。

■Jパワーの株価の行方は?

 Jパワーの業績と株価はどうなるのか?Jパワーは業績予想を「未定」に変更したものの、JEPX価格の高騰はJパワーにとってプラス要素になると思われる。Jパワーは新電力のエナリスに41%出資している(KDDIが59%出資)。エナリスは料金メニューによって電源構成が異なるものの、スタンダードメニューではJEPXから調達比率は79%を計画している。エナリスにとってはJEPX価格高騰は収支悪化影響があり、Jパワーには持分法損益としてマイナスの影響が出ると思われる。

 ただし、エナリスのマイナス要素などを考慮しても、ここから業績を下方修正する理由は見つからない。新電力などが価格高騰で事業存続で苦しんでいるなか、大幅な上方修正をするタイミングではないとJパワーが判断した、と個人的には推定している。Jパワーの株価指標やチャートを見ると、JEPXの価格高騰がなくても株価は上昇しそうな位置になる。JEPX価格高騰はあくまで特別利益に相当するもので、Jパワーに期待するのは継続的な発電企業としての成長だ。

(画像3)Jパワーの株価推移

以 上

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