全国でワシントンホテルプラザ、ワシントンR&Bホテルを展開しているワシントンホテル。創業1964年4月に名古屋国際ホテルを開業したことがスタート。ホテル数は2002年頃にピークに到達し、2010年代の選択と集中フェーズを経て、現在は再成長フェーズ。全国に43ホテルを展開している。インバウンドブームのなか業績は好調だ。
■基本情報(2025年6月6日時点)
- 株価:1,283円(10年来高値:1,705円)
- 時価総額:156億円
- 予想PER:7.6倍
- PBR:1.63倍
- 予想配当利回り:1.71%
- 自己資本比率:28.2%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:7,412人(2024年3月31日時点)
- 事業価値:252億円
■ワシントンホテルの業績は?
2025年3月期のワシントンホテルの売上高は213億円(前年比+16.7%増)、営業利益22.4億円(前年比+50.3%増)の大幅な増収増益となった。ワシントンホテルの売上総利益率は+14.0%(前年は+12.0%)、営業利益率は+10.5%(前年は+8.1%)と営業利益率2ケタを達成した。
ワシントンホテルの売上総利益は前年の22億円→30億円と+8億円の増加、販管費は前年の7億円→7.4億円と+0.4億円の増加にとどまり、営業利益は7.6億円の増加となった。
■ワシントンホテルの事業内容は?
ワシントンホテルは全国で43のホテルを運営している。ホテルの所有形態は自社が9件、別オーナーが34件となっている。ホテル業界は自社でホテルを所有せず、運営することで利益をあげる事業モデルが多い。
ホテルの客室の販売は、ネット予約サイトが約57%と多く、自社サイト17%、旅行代理店16%となっている。
ワシントンホテルは2000年代に積極的に新規出店をしたものの、2010年代には選択と集中でホテル数を減らしている。ホテルは天災など外部環境の影響が大きく、2020年のコロナ禍で大きく苦戦した。去年は台風10号で苦戦しつつ、2026年3月期は大阪・関西万博がプラス要因になる。
■利益モデルは?
ホテルは客室稼働率と平均販売単価(ADR)が重要なKPIになる。ワシントンホテルの客室稼働率は68.1%(前年は62.5%)で+5.6%の改善、平均販売単価は7,142円→7,806円と+9.3%の改善となっている。
いかに客室稼働率を改善させ、客室単価を上昇させるかがポイントとなる。客室稼働率はコロナ前の2019年度は80%前後となっていたものの、現在は平均68.1%と2019年度割れ水準。インバウンドの訪日数は2019年度を上回っているものの、うまく客室稼働率につながっていない。いっぽう、客室単価は2019年度は6,500円前後で推移していたものの、現在は7,800円と大きく改善している。
■ワシントンホテルの財務状況は?
ワシントンホテルの2025年3月末の財務諸表をみると、現預金は60億円、売掛金14億円、固定資産196億円、差入保証金44億円となっている。負債をみると、有利子負債は150億円、リース債務49億円と設備投資面の影響が大きい。
キャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+34億円、投資CFは△16億円、投資CFは△23億円(有利子負債の返済△20億円)となっている。配当金の支払い額が△1.2億円と小さいのが気になる。
ワシントンホテルは土地56億円を計上しており、おそらく含み益はかなり大きいのではないだろうか。
■株価推移は?
ワシントンホテルの時価総額は約160億円。上場時の高値を超えれずに来たものの、現在は上昇トレンドに入っており、上場来高値更新を目指す可能性がある。期待したい。

以 上