BtoBプラットフォームサイトの「NETSEA」やスモールビジネスのメディアサイト「オークファン」を運営するオークファン。2022年9月期の売上高は前年比△40%近い減収予想を発表し、株価の下落が止まらない状況だ。しかしながら、オークファンの事業計画を見ると、収支の悪い撤退事業を整理し、成長を加速させたい「NETSEA」に資源を集中させる戦略で、悪い内容ではない。オークファンの業績と株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2021年12月3日時点)
- 株価:583円(10年来高値:6,470円)
- 時価総額:62億円
- 予想PER:120.4倍
- PBR:1.1倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:64.2%
- 会計基準:日本基準
■オークファンの業績は?
オークファンの2021年9月期の売上高は83.4億円(前年比+6.0%増)、営業利益5.8億円(前年比△28.9%減)の増収減益。オークファンの売上総利益率は+42.4%(前年は+39.4%)、営業利益率は+7.0%(前年は+10.3%)。
オークファンは売上規模と売上総利益は堅調に増加しているものの、撤退事業の営業損失が全体の足を引っ張った形だ。2022年9月期の業績予想では撤退事業の売上高約30億円がなくなるため、前年比で大幅な減収になる見通しだ。さらに、再成長に投資するため、先行投資6億円を考えており、営業利益の公表値も前年比で大幅悪化となる見込みだ。
■オークファンの事業内容は?
オークファンはBtoBプラットフォームの「NETSEA」とスモールビジネス向けメディアの「オークファン」を注力事業として運営している。さらに、インキュベーション事業(投資事業)をおこなっている。
「NETSEA」はもともとはDeNAが運営していた事業で2015年7月よりオークファンが事業を引き継いでいる。ライバルとしてはラクーンHDが運営している「スーパーデリバリー」が該当する。「NETSEA」の利用バイヤーは145万社と公表されている。
「スーパーデリバリー」のラクーン、販管費増で営業利益は前年割れに!(2021年12月5日投稿)
「オークファン」はネットショッピングやオークションサイト(ヤフオクなど)の相場・統計価格比較のサービスを提供している。プレミアムサービスとして月額1,000円で提供している。主にオークションやネットショップなどで転売するビジネスユーザー向けのサービスだ。
■オークファンの株価下落の原因は?
オークファンは2021年1月に高値2,800円をつけてから、株価は一気に4分の1以下まで下落している。何が起こったのか?
オークファンは2021年9月期の第一四半期を2021年2月12日発表し、売上高30億円、営業利益12.2億円(前年は営業利益62百万円)の大幅な増収増益を発表。そこから、四半期決算をむかえるたびに減益の発表となり、投資家が含み損を重ねる状況がつづいている。
そもそも、オークファンは注力事業で稼いでいるというよりインキュベーション事業である事業投資で稼いでいる。言い換えると、事業投資のため翌期以降の利益がまったく見えない状況に投資家が不安となり株価が下落している状況だ。
■オークファンの株価の行方は?
オークファンの時価総額は約60億円。一時は300億円くらいまで株価は上昇したものの、わずか1年で4分の1以下まで下落してしまった。この大きな変動に平然と眺めて入れる投資家はそれほど多くないのではないだろうか。正直なところ、いま割高感はまったくないが、あがる気もしない。オークファンは事業会社と見るよりも、投資会社として考えたほうが良いかもしれない。
ここ数年は金融緩和の影響により株式相場は絶好調。オークファンの事業投資にも追い風が吹いていた。ここから事業投資がどこまでうまくいくかは見えない点があることに注意が必要だ。これまでの投資先で上場したのはWaqoo(ワク―)、ピアラ、ヘッドウォータース、マーケットエンタープライズ、ROBOTPAYMENT(ロボットペイメント)など。オークファンは「NETSEA」など事業を見極める力はあるものの、自ら事業を創り出す力はそれほどないのかもしれない。
炭酸スキンケア「HADA NATURE」のWaqoo(ワクー)、今期は30%売上減予想!(2021年11月20日投稿)
以 上