中小企業、中堅企業向けにパッケージソフト「奉行(ぶぎょう)シリーズ」を販売しているオービックビジネスコンサルタント(OBC)。親会社のオービックが約33%の株を保有する。OBCは、会計税務、人事労務、販売管理などの分野でパッケージソフトを展開。ここ10年、安定的に成長をつづけてきたものの、2020年3月期は売上高301億円(前年比+1.8%)とほぼ横ばいの成長となった。今後の株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2020年6月5日時点)
- 株価:5,810円
- 時価総額:4,689億円
- 予想PER:47.6倍
- PBR:3.68倍
- 予想配当利回り:0.86%
■OBCのビジネスモデル、高い収益率のワケは?
オービックビジネスコンサルタント(以下、OBC)の2020年3月の業績は、売上高301億円(前年比+1.8%)、営業利益130億円(前年比△1.0%)とほぼ横ばいの結果となった。営業利益率は40%を超えていて、高収益な超優良企業であるものの、事業規模の拡大が停滞していることは大きな課題だ。2021年3月期の業績予想もほぼ横ばいで公表している。
OBCはいったい、どのようなビジネスをしているのか?OBCは中小・中堅企業向けに「奉行シリーズ」という会計、人事などのパッケージソフトを提供している。OBCはプロダクトとサービスの2つのセグメントに事業を分けているものの、簡単にいえば「奉行シリーズ」の販売、導入サポート、指導、保守などで稼ぐビジネスモデルだ。
OBCをはじめとしたパッケージソフト企業の強みは、定期的に新しい製品・サービスを開発して、顧客に提供できる点だ。その理由は、古くなった製品やサービスの保守サービスを終了できるからだ。顧客企業としては、使用しているパッケージソフトのサービス期間が終了すると、新しい製品・サービスへの切り替えをする必要があり、そのときに他社製品に切り替えるにはハードルが高く、結局いままでと同じ製品シリーズを使うことが一般的だ。
■競合のなかでも圧倒的な収益力のOBC!
OBCは同業他社のなかでも圧倒的に利益率が高い。パッケージソフトの同業他社としては、ミロク情報サービス(売上規模:約350億円)、ビジネスブレイン太田昭和(同:約280億円)、PCA(同:約140億円)などだ。OBCの売上高は約300億円であるものの、営業利益130億円(営業利益率:43.3%)と収益力で他社を圧倒している。
ミロク情報サービスの営業利益は約50億円(営業利益率:14.6%)、ビジネスブレイン太田昭和は約20億円(同:7.5%)、PCAは約28億円(同:19.5%)とOBCの収益力にはおよばない。
事業の基幹システムとして使用するパッケージソフトは、いったん導入すると操作性などの点から、なかなか他社製品に移行できない。その顧客企業にしっかりと保守、メンテ、仕様変更などで稼ぐビジネスモデルを築けているのが強みだ。また時代の流れとして、クラウド化、消費税改正などの追い風があり、稼ぎ続けるビジネスモデルとなっている。
■すでに上場来最高値圏のOBCの株価、今後の行方は?
OBCの時価総額は4,500億円を突破。親会社であるオービック(時価総額:1.8兆円)と同じように上場来最高値圏まで上昇中だ。これから、さらに株価は上昇するのだろうか?同業他社のミロク情報サービスは時価総額約850億円、ビジネスブレイン太田昭和は時価総額約210億円、PCAは340億円。
たしかにOBCは高収益であるものの、同業他社の時価総額とくらべると株価は少し行き過ぎではないか。すでにOBCの売上高は横ばいとなる予想であり、日本株の相場状況次第では下落トレンドに転じる可能性はあり、注意は必要だ。
以 上