eラーニングの「スタディング」や法人向け教育事業の「AirCourse」を展開しているKIYOラーニング。広告宣伝費を大きく投入しているため赤字継続であるものの、粗利が確実に増えており、将来の黒字化をイメージしやすい。ゆくゆくは広告宣伝費を適正レベルにすることで、安定的に利益を出すことができるだろう。今後のKIYOラーニングの業績と株価の行方は?
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■基本情報(2023年10月20日時点)
- 株価:956円(10年来高値:5,870円)
- 時価総額:65億円
- 予想PER:81.2倍
- PBR:7.75倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:23.7%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:2,509人(2022年12月31日時点)
■KIYOラーニングの業績は?
KIYOラーニングの2023年12月期の第二四半期の売上高は17.0億円(前年比+36.0%)、営業利益△1.3億円(前年同期は△4.0億円)の増収赤字幅悪化となった。KIYOラーニングの売上総利益率は+85.5%(前年は+84.1%)と高い。
KIYOラーニングの売上総利益は前年の10.5億円→14.6億円と+4.1億円の増加、販管費は前年の14.6億円→15.8億円と+1.2億円の増加となり、差し引きで営業利益は+2.9億円の改善となり、営業利益は△4.0億円→△1.3億円と大きく改善した。
販管費15.8億円(前年は14.6億円)のうち、広告宣伝費は11.0億円(前年は10.9億円)と非常に大きい。広告宣伝費を除くと、大きく利益がでていることがわかる。
■KIYOラーニングの事業状況は?
KIYOラーニングの従業員数は前年末の67名→78名と+11名の増加。この規模の会社としては大きく増加していることがわかる。KIYOラーニングの従業員の平均年齢は38歳、平均年収は620万円とそれほど低くない。
主力の資格試験のeラーニングである「スタディング」をみると、新規有料会員数は+4.3万人(前年同期は+3.4万人)と堅調。広告宣伝費は高い水準であるものの、2023年1月からはタレントの川口春奈さんをテレビCMのメインキャラクターに起用。ブランドイメージの浸透と認知度向上に力をいれている。
■競合他社の状況は?
KIYOラーニングの競合他社は少なくない。ネット専業の資格通信講座関係やリアルの学校などが競合になる。ネット専業では、フォーサイト、生涯学習のユーキャンなど。ユーキャンは年商358億円、従業員数550人でベンチマークにはなるだろう。将来的にユーキャンに匹敵する事業になるなら、株価も大きく上昇するはずだ。
また、リアルの学校を運営している「資格の学校TAC」もネットのサービスを展開している。20年くらい前は、DVDを貸し出すという事業モデルだったものの、現在はネット通信講座が一般的。
ただ、価格面では「スタディング」が圧倒的に安い。たとえば、簿記2級合格コースで比較すると、「資格の学校TAC」は58,500円~66,000円、「スタディング」は19,800円。内容の違いはわからないものの、同等レベルのサービスであれば「スタディング」が今後も伸びる気がする。
■KIYOラーニングの株価推移は?
KIYOラーニングの時価総額は約65億円。現在は赤字のため株価の妥当性は数値で判断できないものの、広告宣伝費の読み解き方がポイントになる。2023年12月期の業績予想は、売上高37.1億円(前年比+30.2%増)、営業利益1.0億円を計画している。
年間の広告宣伝費を20億円と考え、将来的には半分まで抑制できると考えると、営業利益は11億円になる。純利益に直すと、7.7億円。1株あたりの当期純利益(EPS)は113円になる。予想PERを20~25倍で試算すると、予想株価は2,260円~2,820円くらいになる。この予想株価からKIYOラーニングの実力を考えるべきだろう。KIYOラーニングはそれほど景気に左右されないビジネスモデルのため、安定して成長していくのではないだろうか?
以 上