オンライン資格講座「スタディング」を運営しているKIYOラーニング(以下、KIYO)。2010年1月設立で、もともとは「通勤講座」として展開。従業員数50名。競合他社としては「資格の大原」、「TAC」「生涯学習のユーキャン」「資格のキャリカレ」などとなる。資格取得はなかなか消えないビジネス領域であり、将来的には面白い事業内容ではないだろうか?
■基本情報(2022年9月9日時点)
- 株価:519円(10年来高値:5,870円)
- 時価総額:35億円
- 予想PER:赤字予想
- PBR:4.71倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:24.6%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:1,815人(2021年12月31日時点)
■KIYOの業績は?
KIYOの2022年12月期の第二四半期の売上高は12.5億円(前年同期比+30.3%増)、営業損益△4.0億円(前年同期は△71百万円)の増収赤字幅の拡大となった。KIYOの売上総利益率は+84.1%(前年は+83.1%)と高い。売上総利益は10.5億円(前年は8.0億円)と+2.5億円の増となったものの、販売管理費が14.6億円と前年同期の8.7億円から約6億円の増加となり赤字幅が拡大することとなった。
ただ、KIYOの販売管理費14.6億円のうち、広告宣伝費が10.9億円を占めており、いまは先行投資という位置づけだ。いかに将来の顧客を増やすことができるか、認知度を上げることができるか次第。売上高が12.5億円しかないものの、広告宣伝費に10.9億円も投入する経営判断はスゴイというか、無茶というか面白いものを感じる。
■KIYOの事業内容は?
KIYOは資格取得のオンライン口座「スタディング」を運営している。中小企業診断士、販売し、ITパスポート、基本情報技術者、司法書士、行政書士など一般的な人気資格を手軽な値段で受講できるサービスを提供している。競合他社としては、昔ながらのTAC、大原簿記などの大手資格学校なども存在するし、市販の教材もライバルとなる。
「スタディング」のセールスポイントは、AI(機械学習)を活用した復習問題ができる点。一応、AI実力スコアという予測の仕組みは特許を取っているようだ。「スタディング」の地位が確立すれば、合格者が徐々に増えて、口コミやネット記事などで取り上げられる機会も増えていくだろう。
まだ規模は小さいものの、法人向けの教育事業も展開しており、企業向けにオンラインコースを展開しており、前年同期比+50%を超える成長となっている。在宅ワークなどの浸透により、新入社員教育などで活用しやすいのかもしれない。
■KIYOの足元の業績やKPIは?
KIYOの新規優良会員数は今期、1.6万人と前年の1.1万人より約36%の増加となった。いっぽうで、現金ベース売上高(契約時点での売上高)は+15%と伸びが小さく、販売単価が下がっていることが要因だと思われる。
また、2022年8月12日の決算発表とあわせて通期業績の下方修正を公表しており、売上高28.2億円(修正前:32億円)、営業利益△2.6億円(修正前:1.5億円の黒字)と大きく下げた。売上高が想定ほど伸びないことが理由で、いっぽう、売上高を伸ばすための広告宣伝費を継続投入することが修正の内容だ。一時的な業績の波による要因か見極める必要がありそうだ。
■KIYOの財務状況は?
KIYOの自己資本比率は24.6%とかなり低い。純資産は7.4億円しかない。IPOで東証マザーズに上場したものの、公募増資は6.3億円でそれほど市場から新たな資金を調達していないものの、積極的な広告宣伝費の投入により赤字を計上していることが自己資本比率悪化の要因だ。
KIYOの上場前の株主構成をみると、創業者の社長が約50%保有し、MS-Japan、マイナビ以外はベンチャーキャピタルが投資している。そもそも、上場前から赤字体質であり、上場してからも赤字を垂れ流している状況だ。ただ、KIYOは顧客からの前受受講料を14.4億円受け取っており、2022年6月30日時点の現預金は23.9億円もっている。有利子負債は約6.0億円とそれほど多くない。前受受講料を除くと、実質的な自己資本比率は46.5%である。
管理部門や士業に特化した人材紹介のMS-Japan(6539)、コロナショックで株価下落の先は?!(2020年10月17日投稿)
■KIYOの株価推移は?
KIYOの時価総額は約35億円。一時、時価総額は350億円くらいまで上昇したものの、一気に株価は下落し、ほとんどの投資家は含み損を抱えている状況だ。どこかで上昇に転じると思うが、まだ時間がかかりそうだ。事業内容としては面白い。
以 上