成長鈍化のBASE、ネットショップ作成サービスとオンライン決済!

 ネットショップ作成サービスの「BASE」とオンライン決済サービスの「PAY.JP」を展開しているBASE。BASEは2020年9月のコロナショックから急反発したタイミングで増資を実施し、海外投資家から約120億円を調達。BASEとしては最高のタイミングでの増資となり、1株あたり10,810円(株式分割考慮すると現在の2,162円)で資金調達。そこから約4分の1まで株価は下落となった。BASEの現在の事業状況は?

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■基本情報(2022年4月1日時点)

  • 株価:464円(10年来高値:3,448円)
  • 時価総額:518億円
  • 予想PER:未定(未公表)
  • PBR:3.43倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:47.2%
  • 会計基準:日本基準

■BASEの業績は?

 BASEの2021年12月期の売上高は99.3億円(前年比+19.8%増)、営業損失△9.8億円(前年は+8.0億円の利益)と増収赤字転落となった。BASEの売上総利益率は+56.6%(前年は+60.2%)と若干悪化傾向であるものの、+60%前後で推移している。

 BASE事業の総流通額(注文)は1,137億円(前年は953億円)、売上高は84.2億円で売上高計上率(テイクレート)は7.9%(前年は+8.3%)。売上総利益は54.2億円、売上総利益率は+64.3%(前年は+66.6%)となっている。BASE事業は安定的に成長していると言えるだろう。

 PAY事業の総流通額は552億円(前年は360億円)、売上高14.5億円(前年は9.4億円)、テイクレートは2.6%(前年も2.6%)。PAY事業の売上総利益は1.4億円、売上総利益率は+9.9%となっており、BASE全体の売上総利益率が悪化している要因としてはPAY事業の売上比率が上昇しているからだ。

■BASEの事業状況は?

 BASE全体をみると売上規模は成長していて、確実に売上総利益を積み上げているものの、販管費が前年の41.9億円→66.0億円と+24億円ほど増加していることが営業損失に陥った要因だ。

 販管費増の中身をみると、プロモーション費を前年比+54.4%増やしたことが大きな要因だ。BASEはプロモーション費用(広告宣伝費ほか)を約30億円投入しており、仮に10億円に抑えていた場合、営業利益は年間+10億円ぐらいになったいた。プロモーション費用だけでなく、人員数も2020年12月末の162名→211名(2021年12月末)と約50名増加しており、積極的な成長投資を実施している。

■BASEの時価総額は割高から訂正された?

 BASEの現在の営業利益(プロモーション費用除き)を年間+24億円と考えた場合、時価総額500億円の約20倍くらいになっている。BASEは赤字予想であり、予想PERでは企業価値の妥当性を判断できないため、だいたい予想PERを20倍~30倍くらいで考えると良いかもしれない。成長性があれば、将来的な予想PERは下がるため、割高だった株価はかなり修正されたと言えるのではないだろうか。

■BASE事業の行方は?

 BASE事業をみると、6.2万ショップが稼働しており、月間の総流通額は100億円を超える水準まで上昇している。1ショップあたりの月間平均流通額は17万円と公表しており、心配なのは、具体的にどのような人がネットショップ作成サービスのBASEを通してネットショップを展開しているのか気になる。

 平均流通額が月間17万円では生活をすることができず、実店舗の補助サービスであったり、個人がネットショップを開設しているという位置づけに留まる。将来的にはLINEやAmazon、楽天などで個人が気軽にショップを開設できるようになると、BASEのサービスが生き残ることができるか見極める必要がありそうだ。

■PAY.JP事業は?

 「PAY.JP」は決済サービスを提供しており、決済金額の2.59%~3.6%の手数料を徴収するビジネスサービスだ。競合他社としては、ベリトランス、Square(スクエア)、STORES決済(旧Coiney)、GMOペイメントゲートウェイ、ROBOT PAYMENT、Paygent、PayPal、Airペイ(リクルートグループ)、SBペイメントサービス(ソフトバンクグループ)、Paygentなどがある。

 最近ではROBOT PAYMENT(ロボットペイメント)が東証マザーズに上場し、事業規模的にはBASEの「PAY.JP」と同じ事業規模となっている。

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 「PAY.JP」はボクシングをベースにしたフィットネスクラブのb-monsterなどスタートアップ企業を中心に導入が進んでいる。月謝メンバーの月会費の支払いに「PAY.JP」を活用している。この月額定期払いについても、ロボットペイメントが「サブスクペイ」というサービスを提供しており、ちょうど同じサービスとなっている。

■BASEの株価推移は?

 BASEの時価総額は約500億円。BASEの「PAY.JP」事業はロボットペイメントとほぼ同じ規模、同じレベルの成長性と考えると、企業価値は70億円ほどあると考えることができる。BASE事業は利益率は高いものの、成長性が鈍化しており、企業価値400億円が妥当かどうか。ただ、プロモーション費用を除いて営業利益20億円超を出していると考えると、それほど高すぎるわけではない。

 BASEは高値から8分の1くらいまで株価は落ちており、一時は時価総額4,000億円近くあったことに驚きがある。いまのBASEの時価総額は成長性が前年比+20~30%つづくことが前提になっており、成長鈍化すると株価が大きく下がる可能性があることに注意が必要だ。

(画像1)BASEの株価推移、高値をつけて下落がつづいている

以 上

 

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