「コメダ珈琲店」「おかげ庵」など展開する外食チェーンのコメダホールディングス(以下、コメダ)。2023年5月末の店舗数は995店舗と1,000店舗まであと一歩のところまで到達。もともと中部中心だったものの、現在は西日本、中部、東日本ともに300店舗を突破しており、地域間の差もなくバランスよく出店。海外は上海、台湾、香港、インドネシア(バリ島)に出店。今後の業績と株価の行方は?
■基本情報(2023年10月6日時点)
- 株価:2,837円(10年来高値:3,045円)
- 時価総額:1,311億円
- 予想PER:22.1倍
- PBR:3.23倍
- 予想配当利回り:1.86%
- 自己資本比率:41.2%
- 会計基準:IFRS基準
- 株主数:166,369人(2023年2月28日時点)
■コメダの業績は?
コメダの2024年2月期の第一四半期の売上高は104億円(前年比+16.7%増)、営業利益22.6億円(前年比+21.2%増)の増収増益。コメダの売上総利益率は+34.5%(前年は+35.3%)、営業利益率は+21.6%(前年は+20.8%)と高い。同業他社のドトール・日レスやサンマルクホールディングスは売上総利益率がコメダよりも高いものの、販管費の負担が大きく、営業利益率ではコメダに劣る。
コメダの売上総利益は前年の31.6億円→36.1億円と+4.5億円の増加、販管費は前年の14.0億円→14.4億円と+0.4億円の増加となり、営業利益は前年の18.6億円→22.6億円と改善している。
「ドトール」「洋麺屋五右衛門」など展開のドトール・日レスホールディングス、業績回復!?(2023年10月9日投稿)
「サンマルクカフェ」のサンマルクホールディングス、コロナ後の業績回復つづく!(2023年10月8日投稿)
■コメダの事業内容は?
コメダは「コメダ珈琲店」を中心に日本全国で喫茶事業を展開している。ただし、コメダはほぼフランチャイズ展開に特化しているのが特徴だ。コメダのフランチャイズ比率は96%あるいは98%と言われている。つまり、コーヒー豆、パンなどのフランチャイジーへの卸売収入がビジネスの基盤。
コメダの従業員推移をみると、正社員は400~550名で推移している。直営店のアルバイトなどの要因で、臨時雇用者は2,000人規模いるものの、フランチャイズビジネスはそれほど多くの人が必要ではない。このフランチャイズビジネスモデルが他の大手の喫茶事業を展開しているドトール・日レスやサンマルクホールディングスとの差異になっている。
■コメダの財務状況は?
コメダの2023年5月31日時点の財務諸表をみると、現預金は55億円、のれん関連は383億円、営業債権他は264億円。負債は、有利子負債は約120億円となっている。業績の割に自己資本比率が40%台とそれほど高くない。
コメダは創業者の個人事業の延長で成長した企業ではなく、アドバンテッジパートナーズが買収し、現在のコメダホールディングスとなり上場している。創業者からコメダの株を買い取ったときに、かなりプレミアムをつけて買収しており、その結果として巨額ののれんが計上されている。IFRS基準を採用しているため、のれんの償却はない。
■コメダの株価推移は?
コメダの時価総額は約1,300億円。競合他社のドトール・日レスは時価総額約1,000億円、サンマルクホールディングスは時価総額430億円となり、成長性と収益性の高いコメダの時価総額は他の同業他社よりも高い。
しかしながら、コメダの過去の業績推移をみると、それほど利益の伸びは高くない。もし、日本基準を採用していたら、のれんの償却で営業利益は10~15億円ほど年間で業績悪化していたのではないだろうか。
2015年2月期 売上高 192億円、営業利益59億円
2017年2月期 売上高 240億円、営業利益69億円
2019年2月期 売上高 303億円、営業利益76億円
2021年2月期 売上高 288億円、営業利益55億円
2023年2月期 売上高 378億円、営業利益80億円
以 上