子会社のフューチャーショップによるSaaS型ECサイト構築プラットフォームやEコマースの支援をしているコマースOneホールディングス(以下、コマースワン)。SaaS型サイト構築の「futureshop」は稼働店舗数2,900店舗、サービス提供18年。競合としては無料サイト構築支援のBASEや「ebisumart」のインターファクトリーなどが該当する。コマースワンの業績と株価はどうなるのか?
■基本情報(2021年12月27日時点)
- 株価:1,437円(10年来高値:4,635円)
- 時価総額:108億円
- 予想PER:25倍
- PBR:5.45倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:72.6%
- 会計基準:日本基準
■コマースワンの業績は?
コマースワンの2022年3月期の第二四半期の売上高は14.4億円(前年同期比+22.6%増)、営業利益3.5億円(前年同期比+36.2%増)の増収増益と堅調だ。コマースワンの売上総利益率は+58.0%(前年同期は+58.2%)、営業利益率は+24.1%(前年同期は+21.7%)と高い水準になっている。
コマースワンの貸借対照表をみても、無駄な資産がなく、借入金もない。自己資本比率が70%を超えており、収益力も高く、成長性を感じられる業績となっている。
■コマースワンの事業内容は?
コマースワンの事業内容を理解している人はそれほど多くないはずだ。メインのビジネスは子会社のフューチャーショップが展開しているSaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」が稼ぎ頭となっている。その「futureshop」と別の子会社のソフテルの展開する販売管理・在庫管理ソフトと連携させて、実店舗と自社EC、ECモール店舗での販売をEコマースの面からサポートしていくビジネスをおこなっている。
「futureshop」は2021年9月末時点で2,900サイトが利用している。「futureshop」の特徴はノンカスタマイズでネットショップを利用できる点だ。また、さまざまなEC支援サービスと連携しており、拡張性の高いSaaS型のプラットフォームになっている。
競合他社のBASEは個人事業主などの小規模事業者がメインであるものの、コマースワンの「futureshop」は98.6%が法人となっている。料金体系も最も安いもので2.2万円~となっており、本気でECショップを展開したい法人向けのサービスとなっている。
■「futureshop」の実力は?
「futureshop」の総取引額は2021年度で1,703億円、1店舗あたり約6,200万円となっている。ある程度の規模の法人が利用していることがわかるだろう。ストック売上高比率が80%を超えているもの特徴で、簡単には売上高は落ちない事業モデルになっている。
■コマースワンの株価推移は?
コマースワンの時価総額は108億円。2022年3月期の業績予想は売上高28.4億円(前年比+12.8%増)、営業利益6.3億円(前年比+10.4%増)を考えると妥当な業績予想に見えるものの、ストック売上高が80%を超えるビジネスモデルのため、将来の成長を考慮すると割安感はある。
コマースワンの営業利益率が20%を超えていることも魅力的だ。ECサイトの構築では、BASEやインターファクトリーだけでなく、ソフトクリエイト、Eストア、「カラーミーショップ」のGMOペパボなどもある。また、ECサイトの運営を代行する、いつも(itsumo)なども競合に該当するだろう。ただし、コマースワンは積み上げ型のビジネスモデルであり、どこかで株価は爆発するのではないかと期待している。