ネット通販(EC事業)の導入から運営まで総合的に支援するitsumo(いつも)。楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングへの出店から自社ECサイトの導入~運営までitsumo(いつも)が代行しておこなうサービスを提供している。これまでの支援実績は約1万件。2020年4月の緊急事態宣言により対面販売が自粛される中、ネット通販に販売モデルが移るなか、総合的にEC転換をサポートしてきたのがitsumoだ。itsumo(いつも)はブランドメーカーの公式ECサイトの運営代行サービスを行っている。今後の業績と株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2021年2月19日時点)
- 株価:3,880円(10年来高値5,670円)
- 時価総額:218億円
- 予想PER:55.3倍
- PBR:13.05倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:43.3%
- 会計基準:日本基準
■itsumo(いつも)の業績は?
itsumo(いつも)の2021年3月期の第三四半期の売上高は66.4億円(前年同期比+64%増)、営業利益は4.9億円(前年同期比+95.8%増)の増収増益となった。itsumo(いつも)の売上総利益率は+24.3%、営業利益率は+7.3%。itsumo(いつも)は、2020年12月21日に東証マザーズに上場したばかり。
■itsumo(いつも)のビジネスモデルは?
itsumo(いつも)は、ネット通販(EC)事業の導入~運営まで総合代行するビジネスをおこなっている。たとえば、ネット通販をおこなっていないアパレルメーカーが、楽天市場、Amazonなどの通販モールへの出店から自社ブランドECサイトの運営までをitsumo(いつも)に代行運営を委託するケースだ。itsumoは2つのセグメントに分けて管理しており、顧客のEC事業のコンサルティングサービスと顧客ブランドサイトの運営代行だ。
顧客のブランドサイト(自社ブランドサイト)の場合は、顧客の公式サイトとして運営するのが特徴だ。itsumo(いつも)はこれまで約1万件のサポート実績がある。itsumo(いつも)の2つのセグメントビジネスとも、ストック的な売上高が計上される部分が多いのが特徴だ。
■itsumo(いつも)の売上総利益率は?
itsumo(いつも)のECマーケティングサービス(コンサルティング)はストック売上高比率が88.4%となっている。ネット通販(EC)の経験のない顧客の場合は、楽天市場、Amazonなどへの出店した後、さまざまな問題(トラブル)が発生するため、itsumoが継続的にサポートする形となっている。この事業の売上総利益率は+69.7%と高い。
もうひとつのECマーケットプレイスサービスは顧客の公式サイト(自社ブランドサイト)の運営代行のため、顧客より商品を仕入れて販売する。itsumo(いつも)にとって売上高は大きいものの仕入れ額も大きいため、売上総利益率は+13%とそれほど高くない。itsumo(いつも)の貸借対照表を見るかぎり、商品在庫は4.8億円しか計上されていないため、顧客企業が商品在庫を所有し、受注時にitsumo(いつも)が購入する仕組みと思われる。
itsumo(いつも)は在庫が滞留するリスクを負っていないだろう。このビジネスは顧客の商品が売れれば、itsumo(いつも)の利益額も安定的に増えていくのが特徴だ。このビジネスもストック的な要素が高く、itsumo(いつも)はリスクを負うことなく売上高と利益を積み上げることができる。顧客の商品が売れれば、itsumo(いつも)の業績も上昇するため、顧客と同じ方向を向いたビジネスとなっている。
■itsumo(いつも)がノウハウを蓄積!
itsumo(いつも)のビジネスモデルは、ネット通販(EC)関連のビジネスノウハウが蓄積されるのが大きなメリットだ。EC事業には競合他社が多く、たとえば、ネットショップ作成支援サービスをおこなっているBASEは顧客自身が通販サイトの運営を行う。BASEとしては決済金額により手数料を受け取る仕組みのため、顧客の売上高増加よりも、顧客数の増加に力をいれている。GMOペパボの「カラーミーショップ」はネット通販サイトの作成支援、Eストアの「ショップサーブ」も通販サイトの作成支援となっている。
itsumo(いつも)は楽天市場、Amazonなどの運営代行などでノウハウを蓄積し、さらに顧客の公式通販サイトの運営をおこない、常にノウハウを蓄積していく仕組み。これからもECサイトは発展していくため、常に新しい時代の変化を吸収していくitsumo(いつも)は、その変化に柔軟に対応していくと期待したい。
■itsumo(いつも)の株価推移は?
itsumo(いつも)は、2020年12月に東証マザーズに上場したばかりで、株価に方向感はでていない。現在の時価総額は約210億円。無料ネットショップ作成支援サービスをおこなっているBASEの時価総額は約3,000億円。もし、itsumo(いつも)が1年前に上場していた場合、現在の時価総額は1,000億円を超えていた可能性はある。
itsumo(いつも)には競合他社も多く、非上場で同じようなビジネスを展開している企業がある。上場企業としてはHamee(時価総額:約260億円)が該当する。itsumo(いつも)で心配されるのは、2020年4月~9月にネット通販立上げの需要が大きく増え、マーケット全体で需要の先取りをしていないかという点だ。itsumo(いつも)の四半期ベースでの売上高推移をみると、BASEと同じように売上高が減少傾向となっている。
以 上