デジタルトランスフォーメーション(DX)などの経営変革のコンサルティングを通じて顧客に価値を提供しているシグマクシス・ホールディングス(以下、シグマクシス)。あまり企業名を目にしたことのある人は多くないだろう。事業内容としてはベイカレント・コンサルティングと同じ業種と考えてよいだろう。2013年12月に東証マザーズに上場し、現在はプライム市場に上場。シグマクシスの業績と株価の行方は?
DXコンサルティングのベイカレント、業績好調つづく!(2021年10月23日投稿)
■基本情報(2022年5月2日時点)
- 株価:1,066円(10年来高値:1,667.5円)
- 時価総額:494億円
- 予想PER:27.3倍
- PBR:4.69倍
- 予想配当利回り:1.21%
- 自己資本比率:73.8%
- 会計基準:日本基準
■シグマクシスの業績は?
シグマクシスの2022年3月期の第三四半期の売上高は113億円(前年同期比+10.4%増)、営業利益20.8億円(前年同期比+78.4%増)の増収増益。売上総利益率は+46.2%(前年同期は+39.0%)、営業利益率は+18.4%(前年同期は+11.4%)。
同業他社のベイカレント・コンサルティングと売上総利益率はおおむね同レベルであるものの、企業規模の差異などにより営業利益率は見劣りする。しかしながら、シグマクシスはきわめて好業績で成長性のある業績と言えるだろう。
■シグマクシスの事業内容は?
シグマクシスはDX、MX(マネジメント・トランスフォーメーション)、SX(サービス・トランスフォーメーション)の企業が取り組むべきトランスフォーメーションを課題に挙げ、コンサルティングフィーで稼ぐ事業モデルだ。ここ最近のDXブームにより、企業がどのようにDXを進めるかわからない場合に、依頼されるケースが増えている。
現在の従業員数は565名。1契約あたりの売上平均は14.9百万円。M&A仲介の日本M&Aセンター、M&Aキャピタル、ストライクなどは1契約あたり40~50百万円の手数料を計上しており、事業モデル的に規模が小さくなってしまう。M&A仲介会社とシグマクシスは戦っているマーケットが大きくことなると考えておくしかない。
M&A仲介トップの日本M&Aセンターホールディングス、成長つづく!(2022年5月3日投稿)
M&Aキャピタルパートナーズ、中小企業のM&A仲介で成長つづける!(2022年5月3日投稿)
シグマクシスは年間80名前後のコンサルタントを採用しているものの、それほど従業員数は増えていないため、きびしい業績評価・業務内容でふるい落とされる仕組みになっていると思われる。その80名前後のうち、50名前後は新卒採用。なお、シグマクシスは2008年5月に三菱商事とRHJインターナショナルの共同出資で設立された新しい企業。まだ、20年も歴史はない。シグマクシスの役員の経歴を見ると、日本IBM、日本テレコムの出身者が多い。
■シグマクシスの株価推移は?
シグマクシスの時価総額は約500億円。現在の株価は1,066円(2022年5月2日時点)で、最安値の172円から約6倍ほど値上がりしている。割安感はないものの、割高感もない株価指標となっている。コンサルティング会社は設備投資が不要なため、創出した営業キャッシュフローの多くが会社に残るので、設備投資の大きいメーカーと比べると、キャッシュ創出力の高い事業モデルと言える。
とくに、経営コンサルティング企業は従業員の報酬に占める成果報酬部分が大きいため、業績悪化時は報酬減により自然に人員を削減できるメカニズムになっている。なお、シグマクシスの平均年収は約1,170万円と決して低くないものの、M&A仲介のコンサルティング企業には見劣りする水準となっている。
コロナ禍でデジタルツールの活用がテーマになり、シグマクシスの需要は大きく伸びた一方で、アフターコロナでも受注を伸ばせるかが株価伸長のポイントになる。テクノロジーは発展していくことは間違いないため、シグマクシスの需要が大きく減ることはないだろう。
以 上