完全栄養食の「BASE BREAD」のベースフード、新領域で市場を開拓!

 「BASE BREAD(ベースブレッド)」という26種類のビタミン&ミネラル、13.5gのタンパク質、食物繊維などの栄養素がぎゅっとつまった栄養パンを提供しているベースフード。2016年創業、従業員数94名、サブスク(定期購入)62%のベンチャー企業。ITサービス企業などのテック系が注目される新興市場で、注目されるグロース食品企業。今後の業績と株価の行方は?

■基本情報(2023年1月20日時点)

  • 株価:399円(10年来高値:824円)
  • 時価総額:203億円
  • 予想PER:ー(赤字)
  • PBR:10.9倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:45.9%
  • 会計基準:日本基準

■ベースフードの業績は?

 ベースフードの2023年2月期の第三四半期の売上高は71.9億円(前年同期比+92.0%増)、営業損益△7.8億円(前年同期は△0.6億円)の増収赤字幅の拡大。ベースフードの売上総利益率は+54.9%(前年同期は+62.6%)と販売ルートの構成の変化により悪化となった。

 注目されることが多いグロース銘柄であるものの、まだ黒字化されていない。いまは広告費を大量に投入して、規模の拡大を図っている段階だ。ITサービス企業と異なり、食品の新しい領域である完全栄養食としてのパンがどこまで拡大できるか注目が集まっている。

■ベースフードの事業内容は?

 ベースフードは栄養価の多いパンを販売しているメーカーだ。現在はコンビニやAmazonなどでも購入することができ、気軽に目にする機会が増えている。通常の菓子パンの2倍以上の値段である250円前後で販売されている。食パン、プレーン、チョコレート、メープル、シナモンなどのさまざまな味のベースブレッドが販売されている。

 最近ではパンだけでなく、フェットチーネと呼ばれるパスタを固めたベースパスタと呼ばれる新製品なども販売している。また、クッキーも販売している。ベースフードはここ1年くらいで目にする機会が増えた。ネットの広告を中心に表示されることが多く、コンビニで目にすることで、いま人気があるのか?と思ってしまう。

■主力は自社ECでの販売

 ベースフードの決算説明資料をみると、主力の販売ルートは自社ECだ。全体の約6割を自社ECで販売しており、サブスクリプションモデルとして定期購入している人が多いと思われる。初回限定で20%オフで提供しており、価格重視で自社ECで購入している人が多いのだろう。

■ベースフードの売上推移は?

 ベースフードの売上高を四半期ベースでみると、22/3Qは15.7億円、23/1Qは21.6億円、23/3Qは26.1億円と順調に増加している。自社EC、他社EC(Amazonなど)の売上高比率は全体の72.9%。リテールとしては、コンビニ、ドラッグストア、スポーツジム(ゴールドジムなど)で27.0%の販売となっている。

 ただし、ECの販売高は前四半期から下落しており、成長に陰りが見え始めた。また、気になるのは月間の解約率だ。解約率が6.8%あり、月間で新規顧客を6.8%以上獲得しないと売上高が減少する。

 ここ数年、特にコロナ禍に入ってから、タンパク質を中心とした健康志向が高まり、プロテインやトレーニングが人気のワードになっている。ベースフードもその波に乗った形だが、一時的なブームであれば落ちるときも早い可能性がある。

■ベースフードの販管費は?

 ベースフードの売上総利益は39.4億円、販管費は47.3億円で、差し引きで△7.8億円の営業赤字となっている。販管費47.3億円のうち、広告宣伝費を約18億円投入している。配送費は約9億円、人件費は約7億円。おそらく、月間の解約率6.8%を考えると、広告宣伝費を減らすと一気に新規顧客の獲得が減るだろう。

 ビジネスモデル的には、ファーマフーズ、北の達人コーポレーションなどのような企画マーケティング会社の利益構造のビジネスを実施している。唯一の違いは商材であり、商材の利益率だ。ファーマフーズや北の達人コーポレーションの商材は利益率が70%以上であり、いかの効率的にブランド価値を高めるかがポイント。また、ベースフードの商材は消費期限が約1か月と短い。

育毛剤ニューモの次はシボラナイト!下落するファーマフーズ株の行方は?(2022年6月5日投稿)

北の達人コーポレーション、業績堅調も販管費増で営業利益は減少!(2021年10月16日投稿)

■ベースフードの財務状況は?

 ベースフードの2022年11月30日時点の財務諸表をみると、現預金26億円、在庫2.5億円。有利子負債は約6億円と少ない。ベースフードは2022年11月15日に東証グロースに上場し、公募増資として20億円を増資している。資金繰りはいまのところ健全であるものの、1年間で広告費を約24億円くらい使っている企業であるため、安心はできない。

■同業他社の状況は?

 ベースフードの競合他社は少なくない。栄養価の高いパンというジャンルだけでなく、プロテインバーやパスタなど代替的な栄養価の高い食品を提供する企業は多い。たとえば、プロテインバーはアサヒ、カルビーなどの大手も参入しており競合ジャンルにあたる。

 栄養価の高いパンやクッキーなどは知名度の高くない企業も多く参入している。パスタであればミツカングループが設立したZENB(ゼンブ)が大きな競合だ。低糖質で栄養価の高いパスタ、スイーツなどを販売している。

 ベースフードが注目を集めているのは、パンという分野だろう。朝食や昼食に調理することなく栄養価の高い食事をとることができる点。コンビニで栄養価の高い食料として、納豆、ゆで卵、チキン、豆腐など販売されているが、納豆や豆腐はオフィスでは食べにくい。

■ベースフードの株価推移は?

 ベースフードの時価総額は約200億円。上場時の公募価格は800円で現在は約400円と半値になっている。ベースフードを購入したほとんどの投資家は含み損を抱えている状況だ。ベースフードの株価を支えているのは高い成長性。心配なのはECチャネルの売上高が四半期ベースでマイナスに転じている点だ。

 つぎの決算で売上高の減少がみられた場合、時価総額は100億円以下まで下がっても違和感はない。この段階で売上高が減少するとビジネスモデル自体が否定されたと考えてもおかしくないからだ。食品という分野は顧客の選択肢の変化がはげしい分野。オートミール、グラノーラ、プロテインなど健康志向は高まっているものの、消費者の移り変わりも激しい。レシピには特許がないため、現在の優位なポジションをどこまで継続できるか。

(画像1)ベースフードの株価推移

以 上

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