プレミアム優待倶楽部という株主優待ポイントのサイトを運営しているウィルズ(Wills)。現在は82社の上場会社がプレミアム優待倶楽部というポイントサイトを活用して、個人投資家を中心に投資PRをしている。いかにプレミアム優待倶楽部の契約者数を増やしていくかが、ウィルズの課題。今後の業績と株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2023年6月9日時点)
- 株価:613円(10年来高値:1,945円)
- 時価総額:129億円
- 予想PER:25.5倍
- PBR:7.92倍
- 予想配当利回り:1.14%
- 自己資本比率:51.7%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:6,350人(2022年12月31日時点)
■ウィルズの業績は?
ウィルズの2023年12月期の第一四半期の売上高は7.9億円(前年同期比+27.5%増)、営業利益1.2億円(前年同期比+81.6%増)の増収増益。ウィルズの売上総利益率は+47.1%(前年は+47.1%)、営業利益率は+15.5%(前年は+10.8%)と大きく改善している。
ウィルズの売上総利益は前年の2.9億円→3.7億円と+0.8億円の増加、販管費は2.2億円→2.5億円と+0.3億円の増加となり、差し引きで+0.5億円の改善となった。ウィルズの過去の業績トレンドをみると、2Qと3Qでプレミアム優待倶楽部の売上高が大きく伸びる傾向があり、第一四半期としては堅調な推移ではないだろうか。
■ウィルズの事業内容は?
ウィルズのメインの事業はプレミアム優待倶楽部というサービスだ。上場企業にプレミアム優待倶楽部というサービスに加盟してもらい、株主向けにポイントで商品を提供するというもの。現在は82社が加入している。
ビジネスモデルとしては、顧客企業にプレミアム優待倶楽部に参加してもらい、手数料的に利益を得るものだ。具体的なビジネスモデルの詳細は開示されていないものの、加入企業からシステム利用料とポイント利用料の2つを徴収しているのが主要な収益モデル。さらに、1ポイント=1円で換算できるものの、ポイントを使った商品が市場価格の1.3~1.8倍くらいで提供されており、その価格差をウィルズが得ていると思われる。
■ビジネスモデルはストック型!
ウィルズの事業モデルは、ストック型だ。今年度の契約している顧客は、システム利用料とポイント使用料をそのまま今年度も支払うことになる。脱退する企業もあるものの、安定したビジネスになっているのが特徴だ。
プレミアム優待倶楽部の加入企業数は82社。2021年12月末は71社だったので、約1年半で+11社増加した計算になる。日本の東京証券取引所に上場している企業数は約3,800社あり、現在はたった82社しか加入しておらず、成長余地が大きくあるように見える。
ただ、上場企業にとって株主優待は費用増になり、自社製品の提供と異なり、あくまでプレミアム優待倶楽部は個人株主増の施策の1つにとどまる。どのような目的で個人株主を増やすか明確に狙いを定める必要があるだろう。
■マクロ的な視点
ウィルズの目指す世界として、「貯蓄から投資」を支援したいというのが狙い。東証の時価総額の約16.6%しか個人投資家は参加しておらず、残りは外国法人、事業法人・金融機関、信託銀行などとなっている。その個人投資家を増やす手段として、ウィルズはプレミアム優待倶楽部を提供している。
■ウィルズの財務状況は?
ウィルズの2023年3月末の財務諸表をみると、現預金は18.3億円、のれん・ソフトウェアなどが約7億円となり、有形固定資産はほとんどない。負債をみると、有利子負債が約4億円、契約負債(前受金)が4.4億円となっている。財務的には健全だ。
2022年12月期のキャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+10.1億円、投資CFは△2.6億円、財務CFは自己株式取得の1億円などあり△1.1億円となり、現預金は+4.2億円の増加となっている。順調に現預金を増やしている。
■ウィルズの株価推移は?
ウィルズの時価総額は約130億円。成長率がどんどん鈍化しているのが気になる。営業利益率は+20%が見えてきたものの、売上規模は40億円くらいで足踏みしそうだ。また、上場企業のプレミアム優待倶楽部の費用負担が大きく、個人株主を増やすメリットと費用増の両方を考えて、脱退する企業も出ている。企業としても個人株主を増やしたあとに脱退する選択をとるところもある。
今後の株価については、EPS(1株当たりの税引き後当期純利益)が23円くらいと考えると、いまの株価は妥当な範囲ではないだろうか。もし売上高が前年同期割れをするならば、ここから20~30%くらいは下落する可能性も否定できない。
以 上