医療関連サービスのエムスリー、業績にプラス作用するコロナ禍(COVID-19)

医療関連サービスのエムスリー、業績にプラス作用するコロナ禍(COVID-19)

 「m3.com」を中心としたプラットフォームを活用してサービスを提供しているエムスリー。新型コロナウイルスの影響が業績にプラスに作用する企業のひとつ。医療機関は製薬企業のMR(医薬情報担当者)の訪問を自粛するよう要請している。エムスリーの決算説明資料によると、製薬会社からの製薬マーケティング支援の受注が2019年度にくらべて2.5倍以上に急増している。「m3.com」のアクセス数も前年比で1.5倍前後に急増し、医療現場の情報インフラとしての必要性が高まっている。エムスリーの業績と株価の行方は?

医療関連エムスリー、株価上昇が止まらない!!(2020年5月投稿)

■基本情報(2021年1月18日時点)

  • 株価:10,225円(10年来高値:10,675円)
  • 時価総額:6.9兆円
  • 予想PER:231.3倍
  • PBR:39.59倍
  • 予想配当利回り:0.09%
  • 自己資本比率:75.4%
  • 会計基準:IFRS

■エムスリーの業績は?

 エムスリーの2021年3月期の第二四半期の売上高は750億円(前年同期比+21.9%増)、営業利益239億円(前年同期比+44.6%増)の増収増益となった。エムスリーの売上総利益率は+60%、営業利益率は+31.9%と非常に高い。

■エムスリーの事業内容は?

 エムスリーは医療にかかわる様々なサービスをおこなっている。たとえば、メディカルプラットフォーム事業。日本最大級の医療従事者専用サイト「m3.com」(医療従事者の会員制サイト)。医療にかかわるニュースや論文など役立つ情報を発信している。「MR君」は製薬企業の薬剤プロモーション・マーケティングを支援している。「Web講演会」は製薬企業や医療機器メーカーがおこない、パソコンや専用アプリから視聴できるサービスだ。

 キャリアソリューション事業は、「m3.com CAREER」として医師求人・転職支援をしている。「薬キャリ」は薬剤師向けの求人情報サイトを展開している。 エマージング事業群では、「1人1円ファンド」として投資枠100億円のなかから将来有望な投資先に最大20億円程度を投資する事業だ。 エムスリーは医療にかかわる様々なサービスを展開しており、積極的にM&Aや業務提携をおこなっている。

■オンライン診療(遠隔診療)への期待!

 エムスリーはLINEと「LINEヘルスケア株式会社」を設立し、オンライン診療(遠隔診療)の「LINEドクター」を進めている。新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年4月に初診からオンライン診療が可能になった(従来は初診は対面のみ)。オンライン診療は他社も注目しており、オプティムは遠隔診療サービス「ポケットドクター」を展開、メドレー(MEDLEY)はオンライン診療・服薬指導アプリ「CLINICS(クリニクス)」を展開している。

 オンライン診療のメリットは、待ち時間や移動時間を削減できること、院内感染リスクをなくすことができる。現在では医療機関の予約サービスとしてエムスリーが展開している「アイチケット」などあるが、オンライン診療では自宅などで移動せずに診察を受けられるメリットはより大きい。

■AIを活用した画像診断支援サービスも!

 エムスリーは医療クラウドサービスを提供するNOBORIと事業提携し、AIによる画像診断支援サービスを開始した。患者の部位(頭部、肺、心臓など)の画像を病院で撮影し、アルゴリズムで解析をするサービスだ。他社と協力してエムスリーのAIプラットフォームを活用してもらう戦略だ。

■エムスリーの株価の行方は?

 エムスリーの株価はどうなるのか?現在のエムスリーの時価総額は約6.9兆円。コロナショック前の2019年12月ごろは時価総額2兆円くらいだったものの、エムスリーの成長性、収益性、医療関連ITサービス、世界的な金融緩和と財政支出による金余りなどの複合的な要因で株価は上昇をつづけている。これから数年は確実に高い成長を維持すると思われるものの、さすがに割高ではないだろうか?

 新型コロナウイルスの感染拡大により製薬会社は医療機関への訪問ができなくなり、エムスリー、メドピア、ケアネットなどの営業支援サービスに頼る構造となった。エムスリーにとってはコロナ禍により特需が訪れたような状況だ。エムスリーの株価もこの流れをうけて上昇が止まらず、さらに資金が集まってくる可能性もあるが、さすがに買われ過ぎではないか。現在の株価は株式指標(予想PER、PBR、配当利回りなど)では説明できず、どこかで株価が崩れると思われるものの、いまの相場であればここから2倍になることもあり得る。ただ、いまから買いで入るのは危険ではないだろうか。

(画像5)上昇が止まらないエムスリーの株価

以 上