コンピュータ上での試作や開発テストをシミュレーションして分析するCAE(Computer Aided Engineering)によるソリューションを提供しているサイバネットシステム。従業員数は連結ベースで約600名の東証1部上場の企業。それほど知名度は高くないものの、高い収益力と将来性に期待がもてる企業のひとつ。サイバネットの足元の業績は好調で、たしかな技術で顧客を確実につかんでいる企業だ。技術力のある企業であるものの、株価は割安で放置されている。今後のサイバネットの業績と株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2020年12月28日時点)
- 株価:946円
- 時価総額:303億円
- 予想PER:22.6倍
- PBR:2.04倍
- 予想配当利回り:2.2%
- 自己資本比率:68.8%
- 会計基準:日本基準
■サイバネットの業績は?
サイバネットの2020年12月期の第三四半期の売上高は166億円(前年同期比+0.9%増)、営業利益は26億円(前年同期比+32.7%増)と増収増益となった。サイバネットの大幅な営業利益の改善を引っ張ったのは、CAEとよばれるコンピュータによるシミュレーション技術で、前年同期比+20.7%の利益改善となっている。サイバネットはソフトウェアのライセンス提供をおこなっており、その更新契約が約7割を占める。新規契約が約3割。言い換えると、サブスクリプション型のビジネスがメインであるものの、解約率が大体3割くらい発生する継続課金ビジネスと考えることができる。
■サイバネットは日本国内がメイン!
サイバネットの地域別売上高をみると、日本国内が全体の約8割となっている。まだまだ国内主体のビジネスとなっている。
■未来をつくる新しい技術!
サイバネットは自動車、電機などの工業製品向けソフトウェアだけでなく、医療診断支援ソフトなども開発している。たとえば、オリンパスとが発売している「EndoBRAINシリーズ」ではAIがポリープを検出すると警告音を発して診断を支援する。これからの医療、教育、公共サービスなどさまざまなところでサイバネットのソフトウェア技術が活躍する機会が生まれる可能性がある。
サイバネットはAIやビッグデータなどに力を入れている。サイバネットは可視化するソフトウェア技術をもっており、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)の分野や医療向けではCT・MRT・超音波などの医療機器のソフト技術でも使われている。
■サイバネットの取引先、大手企業も多い!
サイバネットはNTTドコモ、ソニー、パナソニック、東芝、トヨタ自動車、ホンダ、オリンパス、エプソンなど日本を代表する大手企業との取引をおこなっている。サイバネットのCAE技術は大手企業に認められ、さまざまな企業の研究開発で利用されている。
■サイバネットの株価の行方は?
サイバネットの時価総額は約300億円。ここ数年の天井圏を突破し、これからの株価上昇が期待できる企業だ。過去に株価が暴騰したことがないため、将来的に大きく上昇する余地も大きい。サイバネットの決算資料をよむと、自社の技術やソリューションについてわかりやすく解説・紹介をしていないため、個人投資家にはわかりにくビジネスモデルかもしれない。決算資料(IR)の充実を期待したい。サイバネットは技術力がある企業であり、ライセンスの更新で継続的な収益があがるため、現時点では割安と判断する。
以 上