オンライン名刺サービス「Sansan」や請求書の電子化「Bill One」などの事業を展開しているクラウドサービス企業のSansan(サンサン)。売上高は前年同期比+25.4%増と好調であるものの、人材採用や広告宣伝費による投資により販管費が前年同期30.4億円→41.9億円に10億円以上増加したことにより営業利益は赤字。Sansanの株高の理由は売上総利益率が高いストック型のビジネスモデルである点。いまは積極的投資期間として利益を出さずに成長に投資している段階というわけか?いつまで赤字をつづけるのだろうか?
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成長鈍化!?名刺管理サービスのSansan(サンサン)の業績の行方は?(2021年4月17日投稿)
■基本情報(2021年10月8日時点)
- 株価:10,380円(10年来高値:13,150円)
- 時価総額:3,238億円
- 予想PER:1,619倍
- PBR:25.87倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:52.0%
- 会計基準:日本基準
■Sansanの業績は?
Sansanの2022年5月期の売上高は46億円(前年同期比+25.4%増)、営業損失△1.0億円(前年同期は+1.9億円の黒字)の増収と営業赤字転換となった。Sansasnの売上総利益率は+88.9%(前年同期は+88.1%)と高い水準になっている。
Sansanの売上総利益は40.9億円と稼いでいるものの、販管費に41.9億円を使っているため営業利益は赤字となっている。Sansanの販管費の中身をみると、人件費15.6億円(前年同期は10.7億円)、広告宣伝費8.5億円(前年同期は6.4億円)、その他17.7億円(前年同期は13.2億円)とすべての費用が大幅に増加している。
Sansanの今期の業績予想は、売上高約205億円、営業利益4.5~8.0億円を計画している。心配されるのは人件費はいったん増加させると減少させることが難しい固定費であること。成長性が大きく鈍化すると、優秀な人材から抜けていく可能性があるため、テック系企業は成長をつづけなけばならないという難しい問題がある。
■Sansanの事業状況は?
Sansanの今回の決算説明資料を見ても、何か目新しいものがあるわけではない。「Bill One」というペーパーレスを進めるツールの売上高は四半期で89百万円とまだまだ小さい。「Bill One」の契約件数は343件にとどまり、国内の200万社という大きな市場があることを示しているものの、競合のラクスの「楽楽明細」やインフォマートなど多くの企業がサービスを提供している分野であることを忘れてはならない。
Sansanのストック売上高比率は95.8%と依然として高い水準を維持している。解約率も低い。
■Sansanの株価推移は?
Sansanの時価総額は約3,200億円。Sansanだけでなく、ラクス、freee(フリー)、マネーフォワードなどのクラウドサービスには資金が流入して株高を演出している。心配なのは、資金の逆流が起こることだ。株価指標的にはかなり割高な水準になっている。
Sansanをはじめクラウドサービス企業は売上総利益率が高く、将来的には営業利益20~40%を出せるという期待を背景に株価は上昇している。また、売上規模がどこまで膨らむかも高い期待を背負った株価であることを忘れてはならない。どこまで株価が上昇するか、バブル相場がはじけるのか誰にもわかならない状況だ。
以 上