企業の帳票・文書管理などデジタル化をサポートする事業をメインに展開しているウイングアーク1st(WingArc1st、以下、ウイングアーク)。ウイングアークはSVFというサービスで帳票(伝票、請求書、見積書ほか)をノンプログラミングで設計、アウトプットできるサービスを提供している。ServiceNowやSalesforceへの帳票サービスも管理されている。今後の業績や株価はどうなるのか?
帳票・文書管理サービス提供のウイングアーク1st、企業のDX化が追い風!(2021年8月1日投稿)
■基本情報(2023年6月16日時点)
- 株価:2,639円(10年来高値:2,705円)
- 時価総額:913億円
- 予想PER:19.5倍
- PBR:2.6倍
- 予想配当利回り:1.7%
- 自己資本比率:55.2%
- 会計基準:IFRS基準
- 株主数:4,042人(2023年2月28日時点)
■ウイングアークの業績は?
ウイングアークの2023年2月期の売上高は223億円(前年比+12.7%増)、営業利益59.5億円(前年比△0.7%減)の増収減益。ウイングアークは売上総利益を表示していない。KPIとしては調整後EBITDAとしており、調整後EBITDAマージンは+32.1%(前年は+36.9%)、当期利益率は+19.7%(前年は+22.1%)と若干悪化している。
■ウイングアークの事業状況は?
ウイングアークのビジネスを引っ張っているのは、BDS(帳票・文書管理ソリューション)のSVFというサービスが前年比+16.4%と大きく伸びている。売上高の内訳をみると、BDS143億円のうち、SVFは131億円、invoiceAgentは11.2億円。DE(データエンパワーメントソリューション)の売上高は80億円のうち、Dr.Sumが29億円、MotionBoardが30億円となっている。
ウイングアークの特徴としては、リカーリング比率が60.2%と高い。リカーリングの内訳としては、保守、サブスクリプション、クラウドとなっている。安定的に成長できる基盤を構築している。ウイングアークの保守継続率は95.6%と95%前後を維持している。簡単に売上高が下がることはないだろう。
■注力中のinvoiceAgent!
改正電子帳簿保存法の施行により2024年1月から請求書類は印刷して保管できなくなる。この法律の改正を追い風に、ウイングアークのinvoiceAgentの契約社数は前期から+160社の増加となっている。
ウイングアークの2024年2月期の業績予想は、売上高238億円(前年比+6.5%増)、営業利益63.5億円(前年比+6.8%増)を目指す。
■ウイングアークの財務状況は?
ウイングアークの2023年2月末の財務諸表をみると、現預金は112億円、のれん・無形資産435億円と巨額の無形資産が計上されている。いっぽう、負債をみると、有利子負債は122億円、契約負債(前受金)63億円となっている。
キャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+68.7億円、投資CFは△10.2億円、財務CFは借入金返済△20億円、配当金支払△14.8億円などがあり合計で△37.3億円。合計すると現預金の増減は+21.6億円の増となった。かなりキャッシュ創出力が高い。
■ウイングアークの株価推移は?
ウイングアークの時価総額は約900億円。キャッシュの総出力を考えると、妥当な企業価値ではないだろうか?上場当初は巨額の無形資産(のれん他)が気になったものの、リカーリング比率も高く、業績が急激に悪化するリスクはかなり低いだろう。
世の中的にデジタルへの方向性は変わらず、ウイングアークが活躍する場面はさらに増えてくるのではないだろうか。まもなく上場来高値を更新する地点まで株価は上昇しており、さらなる株価上昇が期待できそうだ。
以 上