介護・医療キャリア事業のエス・エム・エス(SMS)、成長性と高い収益性つづく!

  医療(看護師)・介護分野の人材仲介サービスや介護事業者向けの経営支援などを展開しているエス・エム・エス(以下、SMS)。「ナース専科」「ナース人材バンク」などの看護職転職へのプラットフォームを構築。また、介護事業者への経営支援サービスとして展開している「カイポケ」も順調だ。前年比+20%の成長を計画している。今後のSMSの業績と株価はどうなるのか?

医療・介護分野の人材仲介サービス展開のエス・エム・エス(SMS)、つづく高収益!M&A活用(2020年10月31日投稿)

■基本情報(2024年5月24日時点)

  • 株価:1,909円(10年来高値:4,865円)
  • 時価総額:1,672億円
  • 予想PER:20.4倍
  • PBR:3.72倍
  • 予想配当利回り:1.04%
  • 自己資本比率:60.7%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:6,211人(2023年3月31日時点)
  • 事業価値:1,551億円

■SMSの事業状況は?

 SMSの2024年3月期の売上高は539億円(前年比+18.2%増)、営業利益83億円(前年比+13.6%増)の増収増益。SMSの売上総利益率は+88.1%(前年は+87.8%)、営業利益率は+15.3%(前年は+15.9%)と高い。

 SMSの売上総利益は前年の401億円→475億円と+74億円の増加、販管費は前年の328億円→393億円と+65億円の増加となり、差し引きで営業利益は+9億円の増加となった。

■SMSの事業内容は?

 SMSは看護・介護領域のキャリアパートナーとして求人のマッチングサービスをしている。2021年から医療専門職の資格を持つキャリアパートナーを積極的に採用し、求職者と事業者の悩みをしっかりと聞き、質の高いマッチングを進めている。組織として専門性の高いサービスを提供している。

 同業他社としては、東証グロースに上場したトライトがほぼ同じサービスを提供しており、事業規模感としても同じレベル。

医療福祉の人材紹介・派遣事業のトライト(TRYT)、4月偏重の事業モデル!(2024年5月25日投稿)

 2024年度3月期の実績をみると、介護キャリアが前年比+29%と大きく伸びている(医療キャリアは前年比+10%に留まる)。介護事業者向けの経営支援サービス「カイポケ」は2024年4月1日時点で50,400事業所(29,150拠点)に展開している。年間の純増会員数は5,200事業所と早いスピードで伸びている(売上高は98.1億円)。

■見えない利益構造!

 SMSはキャリアサービスと「カイポケ」で利益を稼ぎ、海外事業で赤字またはほとんど利益がでていない構造ではないかと推測する。海外事業も年間売上高90億円まで増えており、もし赤字であるのであれば大きく業績の足を引っ張っている。

■SMSの財務状況は?

 SMSの2024年3月末の財務諸表をみると、現預金は182億円、未収入金104億円、のれん97億円、商標権118億円と無形資産が多い。負債をみると、有利子負債は61億円、未払金127億円となっている。この巨額の未収入金と未払金がなぜ発生するのか見えない部分の1つ。

■SMSの株価推移は?

 SMSの時価総額は約1,700億円。株価指標的には割高感はないものの、長期のチャートをみると、右肩下がりのトレンドに入っている。いったんは急成長のフェーズを過ぎて、着実な成長をつづけるか、大きなサプライズがないと、もう少し株価が下がるか、横ばいが続くだろう。

以 上

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