非常勤の医師・看護師を紹介するサービスやオンライン医療サービス「Door.」を展開しているMRT。取締役の約半数が医師というメディカル企業。エムスリー、メドピア、メドレー、ケアネットなどに比べると医療銘柄の株価上昇に乗れなかった銘柄であるものの、コロナワクチン接種で特需が発生。MRTの業績と株価はどうなるのか?
■基本情報(2022年5月2日時点)
- 株価:1,026円(10年来高値:5,780円)
- 時価総額:58.6億円
- 予想PER:11.4倍
- PBR:2.57倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:44.2%
- 会計基準:IFRS基準
■MRTの業績は?
MRTの2021年12月期の売上高は44.7億円(前年比+74.4%増)、営業利益12.8億円(前年比+384.5%増)の増収増益。売上総利益率は+79.7%(前年は+68.6%)、営業利益率は+28.6%(前年は+10.3%)と利益率は急上昇している。
MRTの業績は過去最高であるものの、株価はさえない。2022年12月期の業績予想は売上高40~45億円(前年は45億円)、営業利益8~10億円(12.7億円)と前年未達の業績予想となっている。コロナワクチン接種による非常勤医師・看護師派遣の特需がどこまで落ちるかわからないため、あいまいな公表になっていると言えるだろう。
■新型コロナウイルス特需の後半戦
新型コロナウイルス感染拡大により、メディカルIT企業(エムスリー、ケアネット、メドピアほか)は株価が大きく上昇し、Jストリーム、ブイキューブなど製薬会社向けの営業支援サービスも急拡大と株価急騰をもたらした。
医療関連サービスのエムスリー、業績にプラス作用するコロナ禍(COVID-19)(2021年1月18日投稿)
医薬DXで成長するケアネット、製薬業界は「人」から「DX」に!(2022年2月12日投稿)
いっぽう、新型コロナウイルス感染の後半戦に業績が急拡大したミズホメディー(コロナ感染検査)、全研本社(コロナワクチン予約システム)などの銘柄はそれほど株価は上昇していない。米国による金融緩和縮小の影響のほうが大きく、グロース銘柄に大きな逆風となり、その影響だけ受けているような状況だ。
■MRTの事業内容は?
MRTは非常勤医師・看護師の求人サイト「MRT」の運営とオンライン医療の「Door.」の運営、オンデマンド医療MaaS(無人自動運転による過疎地での医療サービス実証実験)などを行っている。メディカルテック企業として成長が期待できるものの、ようやく芽が出てきたという位置づけだ。
ほかのメディカルテックのエムスリー、メドピア、ケアネット、メドレーなどは株価が上昇し過ぎて、現在は下落の流れとなっている。MRTで心配されるのは、2021年12月期の決算でコロナ特需で売上高が11.4億円おしあげられており、いつかはその影響の剥落が起こること。メディカルテックでありながら、時価総額は60億円程度にとどまっている要因だ。
ヘルスケアIT企業のメドピア、業績は絶好調も株価は調整に!(2021年5月15日投稿)
■MRTの株価推移は?
MRTの業績は好調であるものの、株価はさえない。2016年4月に株価の急騰が起こり、わずか数か月のうちに株価は安値から5倍以上まで上昇した。そこからは、ほぼ横ばいという推移をしている。
MRTで気になるのは、企業サイトの従業員数が2017年1月末現在の140名から更新されていないこと。忘れているだけかわからないものの、自社サイトのメンテナンスもできていないと企業管理の面で心配になる。財務状況は健全なため、安定的に利益を出せる企業であるものの、オンライン医療も競争がはげしく、先行きに安心できるか判断がつかない状況だ。
以 上