医薬DXで成長するケアネット、製薬業界は「人」から「DX」に!

 「CareNet.com」を中心とした医師プラットフォームを活用したビジネスモデルで医師(医療従事者)と製薬企業の両方にサービスを提供しているケアネット。新型コロナ感染拡大により製薬業界の営業活動が大きく変化し、エムスリー、メドピア含めて、デジタルを活用する世界が一気に進んだ。ケアネットはこの追い風を生かして、この2年で一気に成長することとなった。

製薬企業の医薬情報提供活動をサポートするケアネット、コロナ禍で業績好調!(2021年1月3日投稿)

ヘルスケアIT企業のメドピア、業績は絶好調も株価は調整に!(2021年5月15日投稿)

■基本情報(2022年2月10日時点)

  • 株価:845円(10年来高値:2,515円)
  • 時価総額:396億円
  • 予想PER:26.7倍
  • PBR:5.59倍
  • 予想配当利回り:0.23%
  • 自己資本比率:75.6%
  • 会計基準:日本基準

■ケアネットの業績は?

 ケアネットの2021年12月期の売上高は80億円(前年比+50.9%増)、営業利益25.3億円(前年比+67.7%増)の増収増益。ケアネットの売上総利益率は+69.4%(前年は+70.0%)、営業利益率は+31.6%(前年は+28.5%)と高い水準を維持している。

 ケアネットの業績は好調であるものの、ヤフー掲示板をみると悲観的な意見が少なくなかった。その理由は2022年12月期の業績予想が低成長で営業利益はほぼ変わらない保守的な発表だったからだ。

 ケアネットの2021年12月期の3Qまでの数値と4Q単期の数値をくらべると、成長性が一気に鈍化している。3Q累計までは売上高は前年比+76.9%増だったもののが、4Q累計では+50.9%増まで鈍化、営業利益は前年比+94.3%増だったものが、4Q累計では+67.7%増まで鈍化している。

■業績自体は好調継続!

 これまでの成長性が非常に高かったため、成長性が鈍化することは致し方ないものの、世界的なグロース銘柄の株価への逆風が吹いており、ケアネットにも大きく影響している。業績は好調であるものの、2021年6月につけた上場来最高値から半値以下まで株価は下落している。

 ケアネットは2025年までに医師会員を19.3万人から25万人まで成長させる計画をしており、まだまだ医薬DXの分野は伸びていくことが想定されている。ケアネットは現在の売上高80億円から、2025年には売上高300億円を計画しており、営業利益率30%で計算すると営業利益90億円を目指すことになる。

 これまでの医薬情報担当者(MR)の仕事はデジタルなツールが代用することができ、製薬会社としても積極的に活用していく方針に舵を切っている。ケアネットもその恩恵を受けることが予想される。

■ケアネットの株価推移は?

 ケアネットの時価総額は約400億円。成長性と収益性を考えると、2025年に売上高300億円、営業利益90億円を出せるなら割安だ。ただし、株価チャートをみると、すでに株価の山をつけており、現在はダウントレンドとなっている。ここから反発する可能性もありえるが、どこまで落ちるか見通しはわからない。安易に手を出さないほうがよいだろう。

 ケアネットで気になるのは、ケアネットの収益モデルがよくわからない点だ。たしかに医薬DXで売上高を稼いでいるものの、医薬DXの「MR Plus」やWEB講演会がフロー型の収益なのかストック型の収益なのか、医師会員を対象としたリカーリング売上的な要素なのか収益モデルが不明。ケアネットのIR資料を読んでも、理解できない。

 ありえる可能性として、どこかで市場環境が変わったり、競合他社の新製品により、一気にフロー売上が減ってしまうリスクは存在しないのか?時価総額が100億円を割っていたときには株価下落のリスクは限定されたものの、ケアネットの売上規模が80億円まで上昇し、かりに売上高が前年割れをすると、ここから株価は半値以下になる可能性も起こりえる。少し慎重に様子をみたほうがよいかもしれない。

(画像1)ケアネットの株価推移

以 上

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