製薬企業の医薬情報提供活動をサポートするケアネット、コロナ禍で業績好調!

 製薬企業の営業活動をサポートする「MRPlus」や医師向けの医療情報サイト「CareNetTV」などを展開するケアネット。新型コロナウイルスの影響により、製薬会社が従来の訪問営業から、デジタルツールを活用した営業活動に転換するなか、この追い風をうけてケアネットは業績を拡大させている。医療系IT企業のエムスリー、メドピアなどの同業他社だけでなく、Jストリームやブイキューブなどの動画配信サービス企業も製薬会社との協業で事業を拡大している。ケアネットの業績と株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2020年12月30日時点)

  • 株価:4,690円
  • 時価総額:518億円
  • 予想PER:81.1倍
  • PBR:16.8倍
  • 予想配当利回り:0.12%
  • 自己資本比率:57.9%
  • 会計基準:日本基準

■ケアネットの業績は?

 ケアネットの2020年12月期の第三四半期の売上高は31.9億円(前年同期比+48.4%増)、営業利益は10億円(前年同期比+159.8%増)と大幅な増収増益となった。ケアネットの営業利益率は+32%。業績好調な背景には、新型コロナウイルスの影響により、製薬会社の営業スタンスがMR中心の訪問営業からデジタルツールを活用した活動に大きく転換したことが大きい。ケアネットをはじめとした、製薬会社の営業支援に関係するIT企業の業績はどこも好調だ。ケアネットは第三四半期の決算説明資料を作成しておらず、下記の図は第二四半期の業績だ。

医師専用サイトから多角展開のメドピア(6095)、コロナ禍で追い風となる!

医薬医療向けに強い動画配信サービスのJストリーム、セミナーからライブ配信まで!

Web会議から製薬ウェブ講演会まで映像サービスのブイキューブ、テレワークの波に乗る!

■ケアネットの事業内容は?

 ケアネットは、製薬会社向けの医薬営業支援サービスと医師向けの医療コンテンツサービスの大きく2つの事業をおこなっている。前年同期でくらべると、2つの事業ともに伸びているが、医薬営業支援サービスのほうが業績の貢献が大きい。医薬営業支援サービスは全体の売上高の約85%を占めており、利益率は約50%だからだ。

 ケアネットの医療コンテンツサービスとして運営されている「CareNet.com」は、会員数33.7万人(うち、医師会員は16.1万人)となっている(2020年6月末時点)。「CareNet.com」では医療コンテンツ(手技動画、患者指導など)をはじめ、海外の論文や医療ニュースが紹介されている。もうひとつ、医療者の自己学習に役立つ臨床医学動画サービスとして「CareNetTV」が運営され、有料会員数は約5千人だ。

■高い売上総利益率がケアネットの強み!

 ケアネットの売上総利益率は約70%と高い。会計クラウドのフリー(freee)やラクス、Sansanなどのサブスクリプション型のクラウドサービス企業と同様に、売上高の規模が大きくなれば一気に利益が計上されるビジネスモデルとなっている。

■ケアネットの株価の行方は?

 ケアネットの時価総額は約500億円。コロナショックで一時は時価総額が60億円ほどになったものの、そこから大きく反発している。ここから更なる上昇はあるのだろうか?現在は世界的な金融緩和と財政支出のおかげで株式市場にマネーが流れ込み、個別企業の実力を無視した上昇も見られる。そのため、ケアネットが更なる上昇に乗り、時価総額1,000億円を目指す可能性は十分ある。

 ケアネットの年間売上高(予想)は50億円、営業利益は13億円という規模で、ここからどれだけ成長余地があるかにかかっている。いまのところ、ケアネットの目指す市場規模が見えず、いまの時価総額の妥当性は見えない。ケアネットにかぎらず、新型コロナウイルスの影響による一時的な特需と社会の変化による市場拡大の違いが見えず、中長期での成長性がわからないというのが正直なところだ。ただ、ケアネットの売上高が前年比でマイナスを出したときには、大きく株価は下落することに注意が必要だ。いまの情報をみるかぎり、ケアネットの株価は割高と考える。

(画像4)ケアネットの株価推移

以 上

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