Web会議から製薬ウェブ講演会まで映像サービスのブイキューブ、テレワークの波に乗る!

 V-CUBEミーティング(ZOOM)などのWeb会議(テレビ会議)や公共向け・企業向けにテレワーク機材(テレキューブ)を販売するブイキューブ。新型コロナウイルスの影響によりリモートワークやテレワークのニーズが高まるなか、ブイキューブの需要が急増し業績の急拡大がつづいている。2022年12月期には売上高153億円、営業利益35億円、営業利益率22.8%の中期経営計画を目標としている。業績急拡大中のブイキューブの株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2020年12月18日時点)

  • 株価:3,175円
  • 時価総額:777億円
  • 予想PER:76.8倍
  • PBR:21.82倍
  • 予想配当利回り:0.12%
  • 自己資本比率:38.5%
  • 会計基準:日本基準

■ブイキューブの業績は?

 ブイキューブの2020年12月期の第三四半期の売上高は53.1億円(前年同月比+17.3%増)、営業利益は5.6億円(前年同月は△1.7億円の赤字)で黒字転換を果たした。2020年12月期の通期予想は、8月13日、11月9日の2回、上方修正して公表している。決算資料をみると、イベント配信事業については「急増した需要によりキャパシティ超過」と記載されており、さまざまな業界からライブ配信などの引き合いが来ていることが予想される。

 これまでコンサートやイベントなどリアルで開催されていたものが、コロナ感染拡大により人数制限や開催中止のリスクを避けるため、オンライン化(ライブ配信など)に切り替える方向で進んでいる。コンサートなどのリアルイベントだけでなく、婚活サイト運営のIBJ、イグニス、パートナーエージェント(タメニー)なども婚活のオンライン化を進め、新しい分野でのライブ動画技術のニーズが必要とされている。ブイキューブの競合他社としてはJストリームやCISCO(シスコ)、ZOOM(ズーム)などが該当する。

■ブイキューブの2020年の事業進捗は?

 ブイキューブの事業は2020年4月以降、新型コロナウイルスの影響により急拡大をつづけている。さまざまな業界でリモートの需要が発生し、ブイキューブは特需が発生している状況だ。特に製薬業界はMR(医療情報担当者)の非対面営業やWeb講演会の需要が急増し、遠隔医療のニーズがでている。ブイキューブが販売するテレキューブというリモートワークなどで活用できる設備のニーズが高まり、JRの大きな駅ではテレキューブの個室ブース(仕事ができるボックス)を見かけることもでてきた。

■ブイキューブの事業内容は?

 ブイキューブの事業内容は、ブイキューブミーティングというテレビ会議(Web会議)が全体の半分を占めている。前年比でも最も売上高の伸びの大きい分野となっている。その他では、ベネッセコーポレーションとの遠隔教育、カナミックネットワークとのオンライン診療、オンライン医療相談、リクルートやLIFULLとの遠隔不動産事業、エンタメライブ配信ではエムアップの子会社であるFanplusとのイベントライブ配信(FanStream)など幅広い業界や場面でブイキューブのニーズが広がっている。

■ブイキューブのセグメント別損益は?

 ブイキューブのセグメント別の損益をみると、ビジュアルコミュニケーション事業というWeb会議を含むセグメントが売上高全体の72%を占めている。ブイキューブの全体の営業利益率は10.5%で、競合のJストリームは16%前後となっている。ブイキューブの事業で心配されるのは、新型コロナウイルスが収まったときに、継続的にテレワークの売上を計上できるかどうか。一時的なテレワークバブルになっていないか慎重に見る必要がある。

■ブイキューブの市場シェアは?

 ブイキューブは国内Web会議市場では13年連続でシェアNO1、全体の28%を占めている。重要なのは国内Web会議市場がどこまで拡大するかどうか。

■ブイキューブの中期経営計画は?

 ブイキューブは2022年12月期には売上高153億円、営業利益35億円を目指すことを公表している。2020年12月期から2年間で売上高倍増という計画だ。

■ブイキューブの株価推移は?

 ブイキューブの株価は2020年2月頃の新型コロナウイルスの拡大とともに大きく上昇してきた。すでに上昇前から6倍ほど上昇している。現在のブイキューブの時価総額は約780億円、予想PERの76.8倍をみると、ほかのクラウド事業ほどは過熱していないものの、コロナバブルで一気に資金が流入してきた。競合他社のJストリームもほぼ同じような株価推移をしており、時価総額はほぼ同じ780億円前後となっている。

 2022年12月期の中期経営計画の売上高153億円、営業利益35億円を達成できるのであれば時価総額780億円は妥当かもしれない。すでに中期経営計画の業績まで織り込んだ株価になっている。世界的な金融緩和がどこまで続くかわからないが、株式市場の相場次第では時価総額1,000億円突破の可能性も十分ありえる。ただし、急落の可能性もあるので十分注意が必要だ。正直、ブイキューブの株価は割高感があるので様子見が妥当だ。

(画像7)ブイキューブの株価推移

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする