コインランドリーのフランチャイズ展開や直営店で全国で633店舗(FC店舗:572店舗、直営:61店舗)を展開しているWASHハウス。2016年11月に東証マザーズに上場してから、約5年。株価は一時6,200円(時価総額500億円)まで上昇したものの、現在は10分の1以下の384円まで下落。フランチャイズ店が増えても、業績がそれほど上昇しない利益構造が明らかになった形だ。WASHハウスの株価と業績はどうなるのか?
■基本情報(2022年4月28日時点)
- 株価:384円(10年来高値:6,200円)
- 時価総額:26億円
- 予想PER:19倍
- PBR:1.61倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:41.5%
- 会計基準:日本基準
■WASHハウスの業績は?
WASHハウスの2021年12月期の売上高は21.3億円(前年比△2.3%減)、営業損失△1.4億円(前年は△1.2億円の赤字)と減収赤字幅の拡大となった。WASHハウスの売上総利益率は+29.4%(前年は+32.0%)と悪化傾向となっている。
2021年度の当初計画は売上高34.3億円、営業利益+1.3億円だったものの、売上規模が当初比62.1%まで下落した。コインランドリー事業は天気が悪いほうが利用者が増える仕組みであり、2021年度は悪い条件(晴れが多かった)ものの、当初計画の6割の売上高というのは計画が甘すぎると言えるだろう。WASHハウスの業績予想はあくまで予想であり、それほどあてになるものではないということは明らかだ。
■WASHハウスの事業内容は?
WASHハウスはFC部門、店舗管理部門、直営部門の大きく3つの部門から構成されている。FC部門は新規のフランチャイズ出店にかかる契約金などを管理する部門。2021年度の売上高は4.6億円と前年比△18.7%減となった。出店数は18店舗といかに多く出店してもらうかがKPIとなっている。
店舗管理部門はFC店舗から受領する洗剤販売、店舗管理手数料、清掃受託費など。FC店舗数が横ばいのため、売上高は前年ほぼ変わらず10.4億円となった。
残りは直営店の売上高6.3億円(前年比+9.8%増)と店舗数+2店舗が寄与している。売上規模は増加しているものの、売上総利益率は+17.6%(前年は+25.0%)と低く、利益がでるビジネスモデルではないかもしれない。
■コインランドリービジネスとは?
一時、コインランドリー事業が儲かるという書籍や広告を目にすることが多かった。無人、24時間経営など呼び水に参入した人もいるかもしれないが、単体で参入しても利益のでるビジネスモデルではない。すでに空き地のある地主や既存店舗の空きスペース活用などが妥当な選択だ。
そもそも、設備投資事業であり、初期投資が3,000~4,000万円(内装工事:1,500万円、機器購入費、2,500万円他)くらい発生してしまう。最近では電気代の高騰で営業すればするほど赤字になるケースもあるだろう。FC展開しているWASHハウスの直営店の売上総利益率(25.0%→17.6%)が下がっているおり、FC店舗含めて厳しい状況が続いている。
■WASHハウスの株価推移は?
WASHハウスの時価総額は30億円を割っている。WASHハウスの店舗数は386店舗(2016年末)、494店舗(2017年末)、583店舗(2018年末)、618店舗(2019年末)、633店舗(2021年末)と急成長したものの、ほとんど利益は出なかったことより、利益の出るビジネスモデルではないことは明らかだ。
2019年度からは店舗数の増加も微増にとどまり、2022年度は電気代や洗剤の高騰により撤退が増える可能性が高い。最近はコインランドリーも増えたものの、それほど賑わっている雰囲気もなく、顧客数自体が減少している可能性もある。高機能な洗濯機が普及しており、積極的にコインランドリーを使うシーンはそれほどないように思う。
以 上