人事向け採用クラウドの「ONE CAREER CLOUD」や新卒採用メディアの「ONE CAREER」などを運営しているワンキャリア。前年比+40%を超える売上高の成長をしており、就職活動サービスでマイナビ、リクナビなどに続くサービスになっている。今後の成長と株価の推移はどうなるのか?
■基本情報(2023年10月27日時点)
- 株価:3,180円(10年来高値:4,885円)
- 時価総額:183億円
- 予想PER:31.6倍
- PBR:6.44倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:68.6%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:1,318人(2022年12月31日時点)
■ワンキャリアの業績は?
ワンキャリアの2023年12月期の第二四半期の売上高は21.8億円(前年比+45.2%増)、営業利益7.4億円(前年比+50.9%増)の増収増益。ワンキャリアの売上総利益率は+85.1%(前年は+81.3%)、営業利益率は+33.9%(前年は+32.7%)と高収益率となっている。
ワンキャリアの売上総利益は前年の12.2億円→18.6億円と+6.4億円の増加、販管費は前年の7.3億円→11.2億円と+3.9億円の増加となり、差し引きで営業利益は+2.5億円の増加となった。
■ワンキャリアの事業内容は?
ワンキャリアは就職活動や転職活動をサポートする採用メディアを中心に事業展開している。「ONE CAREER」という新卒採用メディアなどで、採用選考経験者の口コミなどを掲載している。このメディアと通して企業は人材募集をすることができ、企業から手数料を徴収するビジネスモデルだ。
具体的な求人メディアである「ONE CAREER CLOUD」の料金体系は、求人掲載は初期費用は0円~30万円、月額費用は月額0円~月額30万円、スカウト機能(15万円)、その他(オンライン説明会、タイアップ記事)などがある。
利用企業としては、Microsoft、楽天グループ、サイバーエージェント、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、三井住友銀行、JAL、トヨタ自動車、サントリー、三菱地所、三井不動産、フジテレビなど大手企業がたくさん利用している。大手企業が活用しているケースが多い。
■ワンキャリアの成長は?
ワンキャリアは高い成長性が特徴だ。これまで新卒採用はマイナビ、リクナビ、楽天みんなの就職などが上位を占めていたものの、現在はワンキャリアも上位に食い込んでいる。
最近はChatGPTを活用したエントリーシート(ES)の自動生成サービス「ESの達人」をリリースしている。法人取引企業の累計は2,274社まで増加、前年比で+81.1%と高成長となっている。
■ワンキャリアの財務状況は?
ワンキャリアの2023年6月30日時点の財務諸表をみると、現預金は30.5億円、売掛金は2.9億円となっている。負債をみると、有利子負債は1.0億円、契約負債(顧客からの前受金)は6.9億円となっている。利益剰余金は13.6億円まで積み上がっている。財務的には健全だ。
ワンキャリアは2021年10月7日に東証マザーズに上場。上場時に約14億円を調達している。初値は2,500円で、現在の株価は3,180円のため、20%ほど上昇している。
■ワンキャリアの株価推移は?
ワンキャリアの時価総額は約180億円。株価指標的には成長性や収益性を考えると妥当だ。ワンキャリアは中長期の戦略として、2026年12月期の売上高100億円、営業利益率30%を目指している。つまり、営業利益30億円だ。
そのときの当期純利益を21億円と考え、予想PERを20~25倍と考えると、時価総額は400億円~500億円くらいになる計算になる。競合他社の学情(時価総額:270億円)は、売上高85億円、営業利益22億円。ワンキャリアが2026年12月期の目標を達成できる見通しであれば、時価総額は300~400億円くらいには到達するのではないだろうか。引き続き、成長をウォッチしたい。
新卒採用の新興企業としてはi-plug(アイプラグ)が勢いがあり、スカウト型では存在感がある。ワンキャリアと競合になる場面もでてくるだろう。
新卒ダイレクトリクルーティング「Offer Box」のi-plug(アイプラグ)、収益性が課題か?(2023年7月23日投稿)
以 上