コールセンター業務のBPOや障がい者雇用支援サービスを展開しているエスプール。コールセンター派遣の人材派遣サービスや広域行政BPOサービスの未達で2023年度の業績予想を大きく未達。これまでの成長ストーリーが大きく崩れたエスプール。いかに挽回を進めていくのか?今後の業績と株価の行方は?
営業利益率10%超のエスプール、障がい者雇用支援の強い!(2022年8月7日投稿)
コールセンター派遣のエスプール(2471)、コロナ禍でも業績伸ばす、株価好調!(2020年10月25日投稿)
■基本情報(2024年3月1日時点)
- 株価:320円(10年来高値:1,410円)
- 時価総額:253億円
- 予想PER:13.8倍
- PBR:2.97倍
- 予想配当利回り:3.12%
- 自己資本比率:42.2%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:14,900人(2023年11月30日時点)
■エスプールの業績は?
エスプールの2023年11月期の売上高は258億円(前年比△3.3%減)、営業利益26.2億円(前年比△15.4%減)の減収減益。エスプールの売上総利益率は+34.3%(前年は+32.8%)、営業利益率は+10.1%(前年は+11.6%)と粗利は改善傾向も販管費増加により営業利益率は悪化している。
エスプールの売上総利益は前年の87.4億円→88.4億円と+1.0億円の増加、販管費は前年の56.5億円→62.2億円と+5.7億円の増加となり、差し引きで営業利益は△4.8億円の悪化となった。
■エスプールの事業状況は?
エスプールの事業を見ていくと、ビジネスソリューション(障がい者事業)の売上高は125億円(前年比+23.1%増)と大きく増えているものの、営業利益は29.8億円(前年比+2.0%増)と伸びが低い。
人材ソリューション事業は売上高が133億円(前年比△19.7%減)、営業利益12.6億円(前年比△24.7%減)と事業規模が小さくなっている。
エスプールの売上高推移をみていくと、新型コロナに関係したコールセンター業務が終了していき、2022年2Qくらいからコールセンター事業が大きく落ちている。稼働スタッフ平均も2022年2Qの6,200人→4,511人と大きく減っている。
いっぽう、障がい者事業は安定した成長をしている。2023年4Qは過去最高の受注となっている。全体を考えると、これまでの成長ストーリーが終了し、横ばいの展開となり、株価から成長性が剥落したと考えるのが妥当だ。
■2024年度の業績予想は?
エスプールの2024年度の業績予想は、売上高271億円(前年比+4.9%増)、売上総利益96億円(前年比+8.9%増)、営業利益27.5億円(前年比+5.1%増)。売上総利益率は+35.6%(前年は+34.3%)、営業利益率は+10.2%(前年は+10.1%)と迫力にかける業績予想となった。
■エスプールの財務状況は?
エスプールの2023年11月末時点の財務諸表をみると、現預金は33.8億円、有形固定資産122億円となっている。負債をみると、有利子負債は約75億円となっている。財務的には健全であるものの、ほとんどが有形固定資産に投資している。
キャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+25.2億円、投資CFは△45.7億円、財務CFは+22.2億円となっている。有形固定資産の投資が大きい。
■エスプールの株価推移は?
エスプールの時価総額は約250億円。株価指標的には割安感はあるものの、成長性が剥落しており、成熟企業として見られるようになっている。成長率が2ケタになると、株価は大きく伸びるものの、いまのままでは反発はきびしいだろう。また、株主が1万人を超えており、なかなか上がりにくい状況だ。
以 上