ECサイト構築のEストアー(4304)、M&Aで攻める!巣ごもり消費の追い風も

 ECサイト構築やネット通販支援サービスを展開しているEストアー。新型コロナウイルスの影響による巣ごもり消費の影響により、EC関連銘柄の業績は絶好調だ。Eストアーでは「ショップサーブ」というECサイト運営に必要な機能がそろったクラウド型サービス(SaaS型ECシステム)を提供している。2019年にコマースニジュウイチ(売上高18億円)、ウェブクルーエージェンシー(売上高41億円)を買収し、2020年度の売上高は前年比+98.7%増を計画している。Eストアーの業績と株価の行方は?

■基本情報(2020年11月20日時点)

  • 株価:1,960円
  • 時価総額:101億円
  • 予想PER:40.6倍
  • PBR:4.85倍
  • 予想配当利回り:1.47%
  • 自己資本比率:25.7%
  • 会計基準:日本基準

■Eストアーの業績は?

 Eストアーの2021年3月期の第二四半期の売上高は50億円(前年同期比+111%)、営業利益は3.8億円(前年同期比+61.6%)と大幅な増収増益となった。Eストアーは今回の決算説明資料を現時点で公表していないため、決算短信などで業績動向を追う必要がある。現時点で年間の営業利益予想の94.3%を達成しているものの、業績予想の修正はなかったものの、業績は好調に進んでいる。その要因としては、新型コロナウイルスによる社会の変化(ネットショップへの展開)によるECサイト需要の取り込みだ。

 その社会の変化に加えて、2019年にコマースニジュウイチとウェブクルーエージェンシーを買収しており、売上高自体はM&A効果で2倍になる見通しだ。下記は2020年8月12日に公表された連結業績予想の修正前の数字であるものの、M&Aの2社の合算により売上高が大きく増え、のれん償却の影響で営業利益が減益になる予想だった。いっぽうで、2021年3月期の第二四半期の業績をみると、のれん償却の影響を上回る巣ごもり消費の取り込みが進んでいると思われる。

■伸び悩んでいたEストアーの業績!

 Eストアーはジャスダック市場に上場し、それほど注目される企業ではなかった。その要因としては、年間売上高が50億円ほどで停滞し、その壁を超えることができず伸び悩んでいたからだ。Eストアーの営業利益率は10%前後と低いわけではないものの、売上高伸び悩みにより事業成長に期待が持てない業績となっていた。その状況で、2019年のM&Aによる事業拡大と新型コロナウイルスの影響による巣ごもり特需により足元の業績は大きく改善している。Eストアの株価も上場来高値を超えて、時価総額100億円を突破している。

■苦戦する「ショップサーブ」!

 EストアーはSaaS型ECシステムの「ショップサーブ」とPaaS型システムの「セルサイドソリューション」が事業を支えてきた。「ショップサーブ」が中小企業向けのクラウドサービスで、「セルサイドソリューション」が大企業向けのクラウドサービスという認識で問題ない。「ショップサーブ」の顧客店舗数をみると、店舗数は減少傾向がつづいている。いっぽう、1店舗あたりの流通額が増加しているとあるものの、ECサイトの競争が激化し、弱小企業が生き残れない事業環境になっていることを表している。

■競合企業の多いEC支援サービス!

 ネットショップ支援サービスを展開しているのはEストアーだけではない。最近ではBASEやSTORES(ストアーズ)などの伸びが大きく、無料で簡単にネットショップが開けるサービスが台頭している。BASEの事業規模はEストアーとそれほど変わらないものの、時価総額はEストアーの19倍の約1,900億円。GMOペパボの「カラーミーショップ」もまさに競合だ。Eストアーは巣ごもり特需で2021年上期の業績は好調だったものの、2021年下期でどれだけ業績をのばせるかが今後の事業成長のポイントになる。

■2024年には営業利益20億円の予定!

 Eストアーが公表した2024年度の中期経営計画によると、2024年には売上高101億円、営業利益20億円を計画している。大企業向けのPaaSを伸ばし、新たにハンズオンDX(新規事業)というセグメントで売上高15億円を計画している。中期経営計画をみると、ハンズオンDXでは「20 年間培ったナレッジ&ノウハウを活かし、自社が主催者となるEC事業にも参入していきます」と記載されており、Eストアー自身がEC事業(ネット通販?)を展開すると思われる。

 ただ、新しい分野で3年後に売上高15億円、営業利益5億円、営業利益率34%の事業を問題なく立ち上げられるかどうかは、どこまで信じてよいか今の段階では見えてこない(簡単に達成できる計画ではないことは間違いない)。

■Eストアーの株価推移は?

 Eストアーの株価は上場来最高値圏にある。時価総額100億円を突破。2021年上半期で営業利益3.8億円を出しており、このまま順調に事業が進めば営業利益7~8億円は出せる見通しだ。いまのEストアーをみると、株価に割高感はなく、来年以降も増収増益を出せるならば、ここから更に株価は上昇するはずだ。心配されるのは、売上高は前年比2倍で上昇しているものの、営業利益率が従来の10%を割っている点だ。

 IT企業、EC企業への期待としては、売上高の上昇にともなって、固定費はそれほど変わらずに利益が倍増していくことが期待されている。Eストアーは表面的にはIT企業・EC企業であるものの、ネットショップ構築などの労働集約型事業になっていれば、変動費率が高く、それほど利益がでないかもしれない点を注意深く見ていく必要がある。個人投資家としては、決算説明資料の充実を期待したい。あまりにも事業内容がわからない。

(画像4)Eストアーの株価推移

以 上

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