「保険クリニック」のアイリックコーポレーション、業績挽回に向かうか?

 来店型の保険ショップ「保険クリニック」を直営とFC展開したり、金融機関向けに「スマートOCR」というサービスを展開しているアイリックコーポレーション(以下、アイリック)。3年後の売上高70億円、営業利益10億円を目指して積極的に投資をした結果、2021年6月期は増収減益という残念な結果となった。ただし、前向きな投資のため、将来的には期待できる企業ではないだろうか?

 「保険クリニック」のアイリックコーポレーション、株価の挽回は?(2020年5月24日投稿)

■基本情報(2021年9月10日時点)

  • 株価:1,050円(10年来高値:2,240円)
  • 時価総額:90億円
  • 予想PER:25.6倍
  • PBR:2.46倍
  • 予想配当利回り:1.14%
  • 自己資本比率:84.8%
  • 会計基準:日本基準

■アイリックの業績は?

 アイリックの2021年6月期の売上高は46.4億円(前年比+11.3%増)、営業利益3.7億円(前年比△23.7%減)の増収減益となった。アイリックの売上総利益率は+85.2%(前年は+86.5%)、営業利益率は+7.9%(前年は+11.5%)となっている。

 アイリックの決算説明資料を見ると、売上総利益率悪化の要因は「スマートOCR」というAI搭載の非定型帳票対応型OCRの大型契約増加によりカスタマイズ費用が発生したためと説明がある。販管費の増加は計画的な店舗出店と人件費増が要因で、前年にくらべて4.5億円ほど増加している。

 この説明を文字通りにとらえると、2022年6月期は「スマートOCR」の売上高の加算と新店舗などの加算で売上高は大きく伸びるはず。アイリックの公表した2022年6月期の業績予想では前年比+20%となる売上高55.6億円、営業利益5.5億円を発表している。

■アイリックの事業内容と現状は?

 アイリックは来店型の保険ショップ「保険クリニック」を基軸とした事業をおこなっている。保険販売事業として売上高27.6億円(前年比+7.1%増)で自社で52店舗の「保険クリニック」を展開している。法人営業部門は前年比△19.8%と苦戦している。

 ソリューション事業(AS部門)として、ASシリーズという保険システムの売上(初期登録料、月額利用料)、保険販売コンサルティングサービス(主に金融機関などのシステムユーザー向け)、OCR売上(金融機関向け)などで売上高7.6億円を計上している。もうひとつはFC部門の5.6億円の売上がある。

 アイリックは保険販売事業(売上高27.6億円)だけでなく、ソリューション事業(売上高13.3億円)と事業領域を拡大している点が大きな強みとなっている。金融機関向けに展開している「スマートOCR」は国税調査、確定申告時の源泉徴収票などにも利用されている。大手企業からの受注が増加していると説明しており、今期からの成長が期待できそうだ。

■アイリックの株価の行方は?

 アイリックの時価総額は約90億円。3年後に売上高70億円、営業利益10億円を目指しており、その目標を実現できる場合はPER20倍で考えても時価総額150億円ほどにはなっているはずだ。同業他社で「保険市場」を展開しているアドバンスクリエイトは売上高122億円、営業利益20億円の業績予想で時価総額は約250億円。その半分を実現した場合、時価総額130億円くらいまで上昇していてもおかしくはない。

「保険市場」のアドバンスクリエイト(8798)、安定した成長!(2020年5月24日投稿)

 生命保険は生保レディからネット通販・保険ショップに変わってきており、アイリックのビジネスチャンスは大きくなるはずと期待したい。保険販売だけでなく、ソリューション事業の「スマートOCR」の拡大にも期待できるはずだ。

 

(画像1)アイリックの株価推移

以 上

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