保険ショップ「保険市場」やネット加入生保を展開するアドバンスクリエイト。毎年10%程度の成長をつづける生損保代理店の大手。昔は大手生保のセールスレディが生命保険を販売するのが一般的だったものの、15年くらい前からは複数の生命保険会社の商品を販売するスタイルが主流となった。アドバンスクリエイトは時代の流れにのり、「保険市場」として若い顧客を中心に需要を取り込んだ。安定的な業績とともに、株価も堅調だ。
■基本情報(2020年5月22日時点)
- 株価:2,303円
- 時価総額:253億円
- 予想PER:24.3倍
- PBR:4.6倍
- 予想配当利回り:2.2%
■時代にマッチした保険代理店、今後は?
アドバンスクリエイトという会社を知らなくても、「保険市場」と言えば、どこかで見たことがある人も少なくないだろう。全国12か所で保険ショップ(コンサルティングプラザ)を展開しつつ、インターネット経由で30社以上の保険会社の商品を扱う代理店だ。
昔は大手生命保険会社が自社の保険を販売するスタイルがメインだったものの、ここ15年くらいで複数の生保商品を比較する世の中へと変化した。現在は、来店型の保険ショップとインターネット経由での加入が一般的になっている。
来店型保険ショップとしては、「ほけんの窓口」「保険クリニック」「みつばちほけん」「保険見直し本舗」「イオンの保険相談」などが街中で目につく。アドバンスクリエイトは保険ショップを展開しているものの、ネット経由で販売する「保険市場」をメインとしている。新型コロナウイルスの影響で対面営業が自粛されるなか、ネット経由・オンライン面談を武器に「保険市場」の快進撃はつづいている。
■堅調な業績、時代の流れは止まらない!
アドバンスクリエイトの業績は堅調だ。2020年9月期は売上高114億円(前年比+10%)、営業利益15.7億円(前年比+16.7%)を計画している。2020年3月18日からはビデオ通話で保険相談できる「オンライン面談」を開始し、対面型の保険ショップが苦戦するなか、インターネット経由での需要を積極的に取り込む施策をだしている。2020年4月末時点ではオンライン面談の比率は90%前後まで達している(決算説明資料より)。
「保険市場」をはじめとする保険代理店のメリットは、複数の生命保険会社の商品を比較できること。まだまだ圧倒的に大手生保のセールスレディから加入する人が多い中、世の中の流れとして比較して加入する流れは止まらない。
■心配される点は?
心配される点は、アドバンスクリエイトの保険代理店事業の成長率が鈍化している点だ。アドバンスクリエイト全体の売上高は堅調に伸びているものの、セグメント別の売上高を見ると、メディア事業(広告)が売上高の伸びを支えている。
また、同業他社の動きにも注意が必要だ。来店型保険代理店大手の「ほけんの窓口」(伊藤忠商事グループ)、「保険クリニック」(アイリック)など拡大を続けていて、インターネット経由での展開を強化してくれば、「保険市場」の成長にマイナスな影響がでてくるはずだ。
■アドバンスクリエイトの株価推移は?
アドバンスクリエイトの株価推移は堅調だ。新型コロナウイルスの影響によるコロナショックで一時的に下落したものの、2020年5月時点では下落前を超す水準まで回復している。現在は上場来最高値を意識する株価まできている。ただし、同業他社の動向などにより成長鈍化を株価が織り込みはじめるか注意は必要だ。
以 上