賃貸向けWi-Fiのファイバーゲート(9450)、コロナ影響下でも業績予想上方修正!

 賃貸物件オーナーや観光地、アミューズメントパーク、商業施設などで無料で使えるWi-Fiを使える環境を提供するサービスをおこなっているファイバーゲート(Fibergate)。新型コロナウイルスの影響で経済が落ち込むなか、2020年5月14日は業績予想の上方修正を発表。在宅勤務などのリモートワークの広がりにより、ファイバーゲートの更なる成長が加速する可能性がでてきた。

■株価情報(2020年7月3日時点)

  • 株価:1,413円
  • 時価総額:287億円
  • 予想PER:38.5倍
  • PBR:10.81倍
  • 予想配当利回り:0.24%
  • 自己資本比率:37.9%

■絶好調の業績、ファイバーゲートの快進撃はいつまで続くのか?

 賃貸物件や商業施設などにWi-Fiサービスを提供しているファイバーゲート。2020年6月期の第三四半期の売上高は54.8億円(前年同期比+35.3%)、営業利益11.0億円(前年同期比+31.1%)と高い成長力を維持している。営業利益率は+20.1%で、株価が高く評価される前提の高成長・高収益のビジネスとなっている。ファイバーゲートの高成長はいつまで続くのだろうか?

 ファイバーゲートの売上高の内訳をみると、賃貸物件向けのレジデンスWi-Fi事業が42.0億円(約77%)、商業施設などのフリーWi-Fi事業12.8億円(約23%)となっている。その主な事業であるレジデンスWi-Fiの全国シェアは10%弱程度。これから数年で自宅でのネット経由での動画視聴等がより当たり前な社会に進むなか、自宅で大容量の通信環境整備という市場の拡大を考えると、まだまだ成長はつづく。

 反対に、フリーWi-Fi事業は成長率の鈍化がみられる。レジデンスWi-Fiの契約数が26.5万戸に対して、7.3万アクセスポイントと規模が小さく、その規模での成長率の鈍化となっており、ここから高い成長は難しいと悲観的に見るのが妥当だ。外出先での大容量通信接続の需要については、通信キャリア等による大容量の値下げによって、ユーザーとしては「自分で契約している通信容量で問題ない」という流れになると考える。

■見えないストック収入規模!?

 ファイバーゲートの売上高には、ストック収入とフロー収入の2つにわかれる。ストック収入はサービス利用料、機器レンタル収入などで継続的に計上される顧客からのサービス課金収入。フロー収入は通信機器の販売、電気通信工事、Wi-Fiサービス設定などの1度かぎりの売上収入。ストック収入が多いと売上高の大きな急落は少ないものの、ファイバーゲートの決算説明資料を読むかぎり、明確な規模の開示はされていない。

 2018年6月期を起点にしたストック収入とフロー収入の成長度を示した決算説明資料はあるものの、売上高に占めるストック収入の割合は開示されていない。このストック収入の比率が高い場合は、今後も安定した成長を予測できるものの、現在の開示資料からは残念ながら見当たらない。

■ファイバーゲートの株価推移は?競合他社は?

 ファイバーゲートの株価は、まだ上昇しきれていない状況がつづく。高成長と高収益のビジネスモデルを構築していることを考えると、現在の時価総額300億円は少し過小評価されているかもしれない。競合他社としては、アルテリアネットワークス(時価総額:約1,000億円)、ギガプライズ(同:約250億円)となる。現状は競合他社を含めた3社ともに市場の拡大(創出)を追い風に、高い成長率と収益性を確保している。この追い風はまだ当面つづきそうだ。

以 上

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