木質バイオマス発電のエフオン(eF-ON)、材料高騰により粗利悪化!

 木質バイオマス発電を中心にエネルギー事業を展開しているエフオン(eF-on)。売上高は安定しているものの、材料費高騰により前年同期比で営業利益はほぼ半減。インフレのマイナス面のインパクトを受けている状況だ。今後のエフオンの業績と株価はどうなるのか?

バイオマス発電のエフオン(9514)、日本の森林を守る会社!(2020年10月4日投稿)

木質バイオマス発電のエフオン(EF-ON)、隠れた安定成長と高収益企業!(2020年10月3日投稿)

■基本情報(2022年7月8日時点)

  • 株価:563円(10年来高値:1,508円)
  • 時価総額:122億円
  • 予想PER:11.5倍
  • PBR:0.69倍
  • 予想配当利回り:1.42%
  • 自己資本比率:36.4%
  • 会計基準:日本基準

■エフオンの業績は?

 エフオンの2022年6月期の第三四半期の売上高は101億円(前年同期比+1.5%増)、営業利益10.4億円(前年同期比△49.7%減)の増収減益。エフオンの売上総利益率は+18.4%(前年同期は+26.7%)、営業利益率は+10.2%(前年同期は+20.7%)と悪化している。

 販管費は前年同期は6.0億円だったものの、今期は8.3億円と+2.3億円の増加となっており、営業利益を圧迫している。それよりも、売上総利益率が大きく悪化しているために営業利益は前年同期比半減と悩ましい状況だ。

■急遽?決算補足説明の公表に

 2022年5月13日の決算発表時には補足説明資料の作成も説明会の開催もないとしていたものの、2022年5月26日に決算補足資料を公表した。おそらく、投資家から業績が大きく悪化しているものの何も説明がないことにクレームが入ったと思われる。

 そもそも、エフオンは決算開示に積極的な会社ではなく、それほど熱心に決算説明資料を作成しない会社。決算短信をみても、業績報告のコメントが何もない。

■かなり危機的な業績悪化!

 エフオンはほぼ木質バイオマスの発電企業と言ってよい。売価は固定されているものの、材料費高騰の影響をほぼ受ける利益構造になっている。未利用木材であるB材を約75%使用して発電しており、その材料代が高騰しているのが利益悪化の主要因だ。国内材と海外材の購入比率はわからないものの、国内材もコロナ後のウッドショック以降は価格が高止まりしている。コロナ前のほぼ2倍以上となっている。

 海外材の場合は、価格高騰に加えて円安が直撃している。値決めのタイミングは不明であるものの、通常は価格合意の影響が数か月遅れるため、ここから業績にはマイナスで効いてくるはずだ。

■エフオンの利益構造は?

 エフオンは設備事業と言っても良い。発電施設を構築して、人手をかけずに電気を作って販売するビジネスモデル。有形固定資産を390億円保有しており、借入金が270億円ほどある。

 エフオンは利益を出しているものの、ほとんど配当できないのは、営業CFのほとんどを投資CF(設備投資)に回しているためだ。今後もその傾向は続くため、表面的な利益は大きいものの、キャッシュがたまるビジネスモデルではないことに注意が必要だ。

■エフオンの内部告発は?

 エフオンの取り巻く環境として、内部告発(ブログ)がある。エフオンは発電材料の元となる材料構成によって売電価格が決定する。その材料の構成が「不正操作」されていたという内部告発が起こっている。

 2022年度の業績が大きく悪化しており、材料価格高騰が理由になっているものの、材料構成を本来の姿に修正した結果の可能性があり、この点についてはエフオンからの説明が求められるだろう。いまだに内部告発(ブログ)で告発内容が公開されており、企業イメージとしては大きくマイナスであることは間違いない。

■エフオンの株価は?

 エフオンの時価総額は約120億円。数年前の高値から3分の1まで下落。内部告発を受けてから業績が大きく下落し、エフオンの実力値が見えない状況がつづいている。再生可能エネルギー銘柄として人気が出る可能性があるものの、実態が見えないとなかなか投資がしずらい。

 ただし、和歌山県新宮市の木質バイオマス発電所が2022年8月から稼働予定であり、売上高は+20%くらいは上昇するのではないだろうか。ただ、利益がどこまでついてくるか慎重に見極めが必要だ。

 

(画像1)エフオンの株価推移

以 上

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