木質バイオマス発電のエフオン(EF-ON)、隠れた安定成長と高収益企業!

 バイオマス発電といえば新電力企業のイーレックスを想定する人が多いかもしれないが、木質バイオマス発電のエフオン(EF-ON)を忘れてはいけない。エフオンは規模は小さいながら、安定的な成長をつづけている高収益企業だ。エフオンの営業利益率はこの5年間、21.1%~27.9%の間で推移している。バイオマス発電などをおこなう新電力企業は再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)に支えられているものの、政策の支えがつづけば安定的に成長できる事業内容だ。エフオンの現状と今後の行方はどうなるのか?株価の行方は?

■基本情報(2020年10月2日時点)

  • 株価:628円
  • 時価総額:136億円
  • 予想PER:6.7倍
  • PBR:0.88倍
  • 予想配当利回り:1.27%
  • 自己資本比率:38.7%
  • 会計基準:日本基準

■エフオンの業績は?

 エフオンの2020年6月期の売上高は122億円(前年比+10.6%)、営業利益29.3億円(前年比+2.7%)と増収増益となった。エフオンの成長性はギリギリ2桁であるものの、営業利益率は24%と高い収益性をだしている。同じバイオマス発電をおこなっているイーレックスの営業利益率は10.4%とエフオンの約半分程度(イーレックスの売上高は886億円、営業利益92.4億円と事業規模には大きな違いがある)。

 バイオマス発電は再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)に支えられており、エフオンも24円/kWh程度の固定買取価格で取引していると思われる(決算説明資料で公表していない)。日本卸電力取引所(JEPX)では4円~5円/kWhの市場価格で取引されているため、エフオンをはじめとした新電力企業にとってFIT制度が事業の支えとなっている。FIT制度に支えられている間に、いかに発電コストを抑制できるかが、事業の行方を左右する。

■エフオンの成長はつづく!

 エフオンの売上高はようやく120億円規模となった。エフオンは省エネ支援サービスと電力事業(主にバイオマス発電)の2つの事業をおこなっているものの、売上高の99%は電力事業が占めている。省エネ支援サービスは赤字ではないものの、売上高4.8億円、営業利益0.2億円と業績に占める割合は低い。エフオンは高成長ではないものの、営業利益率の高い高収益企業。

 その高収益企業の予想PERがわずか約7倍と低迷しているのが現状だ。ここ最近は、デジタルやクラウドといった企業の株価が大きく上昇し、エネルギーや製造業などの企業は、たとえ成長をつづけていても、それほど株価が上昇していない。どこかのタイミングでデジタルやクラウド以外の成長企業の株価に見直しが出てくると思われるものの、その行方が見えない。米国でもアマゾン、テスラ、ズームなどのデジタル、クラウドなどの株価が異常に上昇しており、日本株もその流れを引き継いている形がつづいている。

■発電だけではない、小売売電の再開も!

 エフオンは木質燃料をつかったバイオマス(動植物材料)の発電をメインでおこなっている。決算説明資料によると、日本卸電力取引所(JEPX)で取引されている電力を調達した小売売電の再開を表明している。最近では自治体向けの売電で大きく成長しているホープ(売上高:144億円、時価総額:約390億円)が注目されており、エフオンも売電で売上高を加算する余地は十分あるはずだ。ちなみに、エフオンはホープの営業利益の約3倍を稼いでいるものの、時価総額では約3倍の差がついている(ホープ:時価総額390億円、エフオン:時価総額130億円)。

■エフオンの株価の行方は?

 エフオンの株価はイマイチ評価されていない。新電力や再生可能エネルギーが株式市場で評価されていない現状が株価に反映されている。2016年4月からスタートした電力自由化により、auでんき、丸紅新電力、イーレックス、ENEOSでんき、ソフトバンクでんき、楽天でんき等、さまざまな企業が新電力事業に参入しているものの、注目度はそれほど高くない。

 エフオンをはじめとした新電力企業にとってはFIT制度の行方(買取価格の低下含む)が唯一の懸念材料だ。今後の政府による買取価格の上昇は期待できないため、技術革新によるコスト低下が大きな課題だ。そもそも、エフオンという上場企業名を知っている個人投資家はそれほどいないかもしれない。みんなが企業名を知った時点では、すでに割高になっている可能性があるので、いまから注目しておくのは悪くないはずだ。

(画像4)エフオンの株価推移
(画像5)エフオンの長期株価推移

以 上

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