英語コーチングサービスのプログリット(PROGRIT)、法人研修市場の拡大がカギか?

 英語コーチングサービスやサブスクリプション型の英語学習サービスの「SHADOTEN」を展開しているプログリット。2016年9月設立、従業員数は141名(2022年7月末時点)。岡田社長は経営コンサルのマッキンゼー出身、弘中アナと結婚したことでも話題になっている。プログリットの業績と株価の行方は?

■基本情報(2022年10月21日時点)

  • 株価:760円(10年来高値:1,314円)
  • 時価総額:29億円
  • 予想PER:13.6倍
  • PBR:7.15倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:27.0%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:不明(有価証券報告書の提出実績なし)

■プログリットの業績は?

 プログリットの2022年8月期の売上高は22.5億円(前年比+13.7%増)、営業利益3.3億円(前年は△45百万円の赤字)と増収黒字転換。プログリットの売上総利益率は+67.1%(前年は+59.7%)、営業利益率は+14.5%。売上高から当期純利益まですべてにおいて過去最高となった。

 プログリットは2022年9月29日に東証グロースに上場したばかり。今回の上場により約3.2億円の資金を調達。初値の株価は1,180円で時価総額ベースは45億円。現在の29億円の約1.5倍の株価となっていた。調達した資金は、①人材関連、②アプリ開発費、③広告宣伝費に充当予定だ。

 プログリットの自己資本比率が27%と低いのは、ビジネスモデル的に前受金(負債)を計上する仕組みのため。自己資本比率は低く見えるが、キャッシュフロー的にはメリットが大きい。英会話教室、パーソナルトレーニングなどの分割してサービスを提供していくビジネスモデルに多い構造だ。

■プログリットの事業内容は?

 プログリットは英語コーチングサービスとサブスクリプション型営業学習サービスの「SHADOTEN(シャドテン)」の事業がメイン。2022年度でみると、英語コーチングサービスの売上高が約7割、「SHADOTEN」が約3割。問題はメインの英語コーチングサービスの前年比の伸びが+2.1%にとどまっている点だ。

 プログリットの2023年8月期の業績予想は、売上高25.7億円(前年比+13.9%増)、営業利益3.3億円(前年比+1.8%増)と増収増益であるものの、業績の伸びが小さい。特に利益はほぼ横ばいだ。今後の展開としては「積極的な広告展開により成長性重視の赤字計上」となる可能性にも注意が必要だ(その場合は、株式市場の反応は上昇するケースもあるも、大きく下落する可能性もある)。

■プログリットの価格帯は?

 プログリットの英語コーチングサービスは、2カ月(8週)で435,600円(入会金55,000円含む)、3か月(12週)599,500円、6カ月(24週)1,124,200円、12カ月(48週)2,167,000円。かなり高い。昔、NOVAが300回コースで50~80万円くらいだったような気がする。言い換えると、これくらいの価格帯でないと利益がでる仕組みではない。

 いま、YouTubeなどで簡単に英会話を学習できる環境であり、海外のYouTubeを字幕付きで見ることも可能。本当に英語がしゃべれるようになるかがポイントだ。世の中の流れとしては、テクノロジーで言葉の壁(自動同時通訳)などを実現する方向に行きそうな気がする。

■参考になる競合他社は?

 現在の英会話サービスの競合としては、リアル店舗の英会話教室とオンライン英会話、そして英会話アプリの3つ。リアル店舗では、ECC外語学院(145校)、英会話イーオン(250校)、NOVA(296校)、シェーン英会話(188校)、ベルリッツ、Gabaマンツーマン英会話(36校)。

 オンライン英会話は、DMM英会話、ライザップイングリッシュ、レアジョブ英会話など。英会話アプリは、スタディサプリENGLISH(リクルート)が有名だ。

マンツーマンのオンライン英会話を展開するレアジョブ!オンライン語学市場拡大の波に乗る(2021年3月14日投稿)

■競合他社の業績は?

 上場企業としてはレアジョブが参考になる。レアジョブの2022年3月期の売上高は56億円(前年比+5.0%増)、営業利益2.9億円(前年比△56.4%減)。レアジョブの時価総額は89億円(一時は時価総額300億円くらいまで上昇)。レアジョブは約1年で時価総額が10倍以上になったことがあるので参考になるだろう。

 英会話教室のGabaは上場企業ではないものの、決算公告で利益水準をみることができる。2022年3月期の当期純利益は35.7百万円、2021年3月期は△31.2億円の赤字、2020年3月期は△4.8億円の赤字、2019年3月期は+4百万円。コロナ禍が理由か苦戦している。

 英会話教室のシェーン英会話(シェーンコーポレーション)は、2022年3月期の当期純利益は1.2億円、2021年3月期は43百万円、2020年3月期は6.7百万円。

 これらの情報をみると、英語や英会話に特化したビジネスモデルで爆発的に儲かる事業領域ではないことがわかる。

■今後の方向性は?

 プログリットは今後は英会話だけにこだわらず、ビジネスパーソン向けのマインドセットなどの研修などを考えていると公表している。方向性としては、企業向けの法人研修などではないだろうか。グロービスやビジネスブレークスルーなどのような方向に進んでいく可能性がある。

■プログリットの株価推移は?

 プログリットの時価総額は約30億円。まだ上場したばかりで方向感がつかめない。ただ、すでに時価総額がかなり小さいため、時価総額の下限は15~20億円と考える。言い換えると、まだ半値まで落ちる可能性もゼロではない。

 プログリットは経営者が若いため、「これから」の企業。ただ、儲かる新規事業を生み出せるかどうか。いま全国で9校舎を持っているものの、リアル店舗での拡大では、競合他社をみるかぎり、それほど利益がでる仕組みを作れないだろう。

(画像1)プログリットの株価推移

以 上

 

 

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