フリーランス案件サイト「Midworks」運営のBranding Engineer(ブランディングエンジニア)、業績の行方は?

 フリーランスエンジニアの案件マッチングサイト「Midworks」を運営しているBranding Engineer(以下、ブランディングエンジニア)。2013年10月設立とまだ10年経過していないベンチャー企業。従業員数は160名。ITエンジニアの人材不足が叫ばれるなかで、フリーランスとして自由に働く環境を提供しているのがブランディングエンジニアだ。ブランディングエンジニアの業績と株価の行方は?

■基本情報(2022年10月7日時点)

  • 株価:598円(10年来高値:1,011円)
  • 時価総額:125億円
  • 予想PER:113.9倍
  • PBR:17.53倍
  • 予想配当利回り:0.16%
  • 自己資本比率:30.1%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:1,104人(2021年8月31日時点)

■ブランディングエンジニアの業績は?

 ブランディングエンジニアの2022年8月期の第三四半期の売上高は47.8億円(前年同期比+57.2%増)、営業利益は+1.7億円(前年同期比+43.7%増)の増収増益。ブランディングエンジニアの売上総利益率は+31.4%(前年同期は+32.1%)、営業利益率は+3.6%(前年同期は+4.0%)。

 ブランディングエンジニアの売上総利益は15.0億円に対して、販管費が13.3億円だったために、差額の1.7億円が営業利益となっている。販管費の内訳をみると、人件費6.0億円、広告費3.1億円、支払手数料1.6億円が大きな割合を占めている。採用関連費が72百万円発生していることも、エンジニアの集客の関連費用と思われる。思ったよりも広告宣伝費の金額規模が小さく、まだまだ爆発的に利益がでるような構造ではないものの、時価総額は100億円を超えている。将来的な成長が期待されているのだろうか。

■ブランディングエンジニアの事業内容は?

 ブランディングエンジニアの売上高の大半は、エンジニアプラットフォームと言われるフリーランスエンジニアの案件紹介サイトである「Midworks(ミッドワークス」が大半を占めている。売上高は前年同期比+55.4%増となり好調であるものの、売上総利益率が+30%ちょっととそれほど高くない点が気になる。

 同業他社の「geechs job(ギークスジョブ)」を運営しているギークスの売上総利益率は+40%を超えている。いっぽうで、ギークスの時価総額は80億円とブランディングエンジニアよりも小さい。

フリーランス人材マッチングのギークス、ゲーム開発やITスクール運営も!(2022年10月10日投稿)

 ブランディングエンジニアのエンジニアの稼働数は2,245名で、ギークスは約4,000名と規模感で負けている。「Midworks」に登録しているフリーランスエンジニアの登録者数は2.7万人。競合のギークスの登録者数は不明であるものの、毎月、安定的に増えている。

■フリーランスエンジニアを支える仕組み

 ブランディングエンジニアにしろ、ギークスにしろ、フリーランス案件の紹介プラットフォームを作るだけではITエンジニアの囲い込みができない。「Midworks」では業務交通費支給、キャリアアップ支援費の支給、福利厚生サービスの利用、生命保険料の半額負担など企業が本来担う社会保険的な部分をサポートしている。

 この社会保険的な部分を分厚くすると、売上総利益率が下がるものの、長期的な成長には必要との判断だろう。競合他社も同様に正社員並みの福利厚生を提供しようとチャレンジしているのが現状だ。また、いまDXなどの需要が爆発的に伸びており、ブランディングエンジニアにとって追い風。この追い風にのり、業績を大幅に拡大させたいというところ。

 同じような業態にクラウドワークスやランサーズが展開するクラウドソーシングがあるものの、ポジション的にはより専門的なポジションをITフリーランスの案件サイト企業は担っている。クラウドソーシングと異なり、月額課金ベースで業務委託の仕事をしてくれて、安定的に手数料が入ってくるビジネスモデルも強みだ。なお、フリーランスの平均継続月数は14~18カ月と1年ちょっと。将来的にはパーソル、アデコ、リクルートなどの人材派遣に匹敵する事業領域になる可能性がある。期待したい。

クラウドソーシングのクラウドワークス、工数管理SaaS「CrowdLog」は期待か?(2022年9月3日投稿)

クラウドソーシングのランサーズ、撤退事業除きでは順調な成長に!(2022年9月4日投稿)

■ブランディングエンジニアの他事業は?

 ブランディングエンジニアは「tech boost」というオンライン・通学形式のプログラミング教育を展開している。「tech Stars」というITエンジニア特化型の転職支援サービスも展開。教育によりITエンジニアを育成し、転職を支援し、ITエンジニアの独立(フリーランス化)を支援するのがブランディングエンジニアのサービス。

■ブランディングエンジニアの財務状況は?

 ブランディングエンジニアは2020年7月に東証マザーズに上場。上場時に公募増資などで約1.3億円を資金調達。資金調達の金額としては小さい。上場時の時価総額は150億円のため、現在は初値割れの状況だ。

 ブランディングエンジニアの2022年5月31日時点の現預金は8.8億円、売掛金は9.1億円、のれん2.8億円を計上している。有利子負債は約8.8億円あり、自己資本比率もそれほど高くない。これから利益がでるかどうか。

■ブランディングエンジニアの株価推移は?

 ブランディングエンジニアの時価総額は約130億円。同業他社のギークスは約85億円であるものの、財務状況や収益性などはギークスのほうが良好だ。つまり、株価指標的には割安感はない。いっぽう、ブランディングエンジニアが評価されているのは成長性だ。前年比+50%を超える成長をしており、グロース銘柄として資金が集まっている。

 ただし、実力的には(現時点では)ギークスに及ばないと考えるのが妥当なため成長性を株価は多分に加味し過ぎている可能性がある。株式市場の地合い次第ではここから半値くらいまで下落するリスクもあるかもしれない。

(画像1)ブランディングエンジニアの株価推移

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする