アイモバイル(6535)、「ふるなび」事業頼りから脱却なるか?

 広告配信ネットワーク事業や、ふるさと納税事業「ふるなび」を展開するアイモバイル。ふるさと納税の返礼品をめぐる政策によりアイモバイルへの期待が大きくなったり、反対に小さくなり、株価に政策が大きく影響しているアイモバイル。返礼品をめぐる規制により、高成長と高収益だったアイモバイルの業績はどうなってしまうのか?

■基本情報(2020年5月29日時点)

  • 株価:747円
  • 時価総額:163億円
  • 予想PER:13.9倍
  • PBR:1.27倍
  • 予想配当利回り:0%

■政策に左右されるアイモバイルの業績、今後の行方は?

 2007年8月に設立されたアイモバイル。ふるさと納税のプラットフォーム事業「ふるなび」を展開し、2019年7月期までは売上高211億円、営業利益31.6億円となかなかの業績を出していた。ところが、2019年からの返礼品をめぐる政策転換により、ふるさと納税事業に急ブレーキがかかった形だ。

 29019年7月期の第二四半期には売上高55億円、営業利益19.3億円だったコンシューマ事業(ふるさと納税を中心とした事業)は、2020年7月期の第二四半期には売上高34億円、営業利益11.4億円と政策転換の影響を受けてしまった。

 アイモバイルは、コンシューマ事業とインターネット広告事業の2つのセグメントにわけて開示をおこなっている。コンシューマ事業は、ふるさと納税事業、ネットキャッチャー、「テッパン(東京のレストラン仲介)」などを展開。インターネット広告事業は、アドネットワークやアプリに特化した動画広告などを提供している。

 売上高はインターネット広告事業が全体の約6割を稼いでいるものの、営業利益はコンシューマ事業(ふるさと納税を中心とした事業)が全体の約6割を稼いでいる構造だ。まさに、ふるさと納税の政策に左右される事業構造となっている。

■同業他社のチェンジよりは割安な株価水準!

 ふるさと納税を展開している同業他社の業績・株価はどうなっているか?東証一部上場のチェンジの連結子会社であるトラストバンクが「ふるさとチョイス」という事業を展開している。そのチェンジの株価をみると、なんと時価総額は800億円を超える。チェンジの2020年9月期の業績予想は、売上高105億円、営業利益26.2億円となかなかの業績計画だ。

 いっぽう、アイモバイルは2020年3月12日に業績の上方修正をしており、売上高147億円、営業利益17.7億円を計画している。たしかに、チェンジとアイモバイルは、ふるさと納税以外の事業は異なるものの、アイモバイルの時価総額163億円は、チェンジの800億円と比べると、過小評価されているのではないか。または、チェンジの株価が過大評価されているかだ。

 企業の株価は、成長力と収益性により大きく変動し、その期待の織り込みも相場の地合いによって異なる。単純に現在の業績予想だけで比較できないことは忘れてはならない。

■アイモバイルの株価推移は?

 アイモバイルで心配されるのは、インターネット広告事業の売上高が伸びていないこと。ふるさと納税事業は安定的に利益を稼ぐことができるものの、企業としては成長していることが必要だ。今後、アイモバイルの株価成長に不可欠な点としては、ふるさと納税事業以外の成長がほしい。

 アイモバイルの株価チャートをみると、右肩さがりのトレンドがつづいている。アイモバイルは有利子負債がなく、自己資本比率が70%を超える財務の健全なインターネット企業。資金には余裕があるため、M&Aなどチャレンジしても面白い。

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする