成長も利益でない?家事代行のCaSy(カジー)の今後は?

  家事代行サービスのプラットフォームを運営しているCaSy(カジー)。売上高は前年比+15%ほど伸びているものの、営業利益はゼロ。値上げの影響で売上高は伸びているものの、キャスト(人材)のコストも上昇している。掃除、料理代行の領域であり、ベビーシッターなど今後の領域拡大も期待されるものの、レッドオーシャンのなかでどのように戦うのか?

家事代行サービスのCaSy(カジー)、価格改定により売上高は上昇!(2023年7月17日投稿)

家事代行マッチングのCaSy(カジー)、成長が期待できる事業モデルか!?(2022年9月11日投稿)

■基本情報(2024年12月30日時点)

  • 株価:895円(10年来高値:2,098円)
  • 時価総額:17億円
  • 予想PER:ー
  • PBR:7.45倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:44.4%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:756名(2023年11月30日時点)
  • 事業価値:14億円

■CaSyの業績は?

 CaSyの2024年11月期の第三四半期の売上高は13.0億円(前年比+15.3%増)、営業利益△12百万円(前年同期は+17百万円)の増収赤字転落となった。CaSyの売上総利益率は+38.3%(前年は+35.8%)と+2.5ポイントの改善となった。2023年10月の価格改定により売上高は大きく増加。

 CaSyの売上総利益は前年の4.0億円→5.0億円と+1.0億円の増加、販管費は前年の3.9億円→5.1億円と+1.2億円と増加し、差し引きで営業利益は△0.2億円の悪化となった。

■CaSyの事業状況は?

 子育て世代のサポートという地方自治体の方針により、都内を中心に掃除・料理などの家事代行の補助、ベビーシッター補助など補助金が充実している。CaSyは家事代行の部分で認可を得て事業を拡大傾向にある。いっぽうで、家事代行はそれほど参入障壁が高い事業ではないため、いかに競合に勝てるかがポイントになる。

 CaSyは広告宣伝など投資を増やし、今期は現時点で赤字。成長性を重視している。CaSyの定期ユーザー数は7,239名で、前年同期比+6.0%増となった。実際にCaSyの掃除、料理の家事代行を使用しているが、正直、非常に便利。ネットで決済まで完結でき、キャストとCaSyのプラットフォームでコミュニケーションをとることができるのが、零細の家事代行業者との差別化だ。いっぽうで、ポインズなど上場している他社もいるため、競争が激しい領域であることは間違いない。

■CaSyの課題は?

 CaSyの課題はキャストの確保と採算性だろう。キャストのコストは今後も上昇が予想される。現時点で1時間あたり2,800~3,000円くらいで、キャストの時給は1,800円前後。正直、アルバイト、パートという領域から脱却することは難しい料金体系。1時間4,000円を超えると、日本で使用できる人はそれほどいないだろう。

 東京都の多くの自治体では、子育て世代に家事代行の補助金を出していて、年間で60~100時間ほど実質1割負担で利用できる。今後は、いかに多くの地方自治体で同様の補助が広がるかが成長の原動力の一つでもある。

 「家事・子育て支援事業」として、東京都墨田区、葛飾区、台東区で補助が展開されている。

■CaSyの成長性と業績は?

 CaSyはいかに規模を拡大するかが課題。将来的なCaSyの営業利益率は残念ながら頑張って5%前後ではないだろうか。そのため、将来的に売上高が50億円になったときに営業利益率5%で、年間営業利益2.5億円が精いっぱいではないだろうか。そうなると、予想PER10~15倍で、時価総額は20~30億円くらい。

■CaSyの株価推移は?

 CaSyの時価総額は約17億円。このまま成長すると、時価総額は20~25億円くらいは予想できる。しかしながら、時価総額50~100億円を狙える事業内容ではないだろう。事業の参入障壁が低く、過当競争が起こりやすい領域である。

以 上

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