著名投資家の井村氏銘柄、脱石炭目指す三井松島ホールディングスとは!?

 投資家ユーチューバーの著名投資家の井村俊哉氏が三井松島ホールディングスの5%超の保有が公表されている。三井財閥系の石炭企業からの脱却を目指しM&Aを積み上げている三井松島ホールディングス(以下、三井松島)。井村氏の投資後、順調に株価は上昇中。どこまで株価は騰がるのだろうか?

■基本情報(2022年3月18日時点)

  • 株価:2,120円(10年来高値:2,560円)
  • 時価総額:277億円
  • 予想PER:5.7倍
  • PBR:0.84倍
  • 予想配当利回り:3.77%
  • 自己資本比率:47.5%
  • 会計基準:日本基準

■三井松島の業績は?

 三井松島の2022年3月期の第三四半期の売上高は337億円(前年同期比△16.9%減)、営業利益48.9億円(前年同期比+266.4%増)の増収増益。三井松島の売上総利益率は+31.8%(前年同期は+17.7%)、営業利益率は+14.5%(前年同期は+3.3%)と大きく改善しているように見える。

 しかしながら、「収益認識に関する会計基準」の適用により石炭販売の売上高が前年同期△193億円減少しているため表面上の売上高が減少し、利益率が大きく改善しているように見える。三井松島はオーストラリアに石炭の権益(豪州リデル炭鉱の32.5%の権益)を持っており、石炭価格の高騰と円安の2つの追い風により売上高と粗利が大きく伸びているのが増益の大きな要因だ。

■三井松島の事業内容は?

 三井松島は石炭関連のエネルギー事業と生活関連の2つの柱で事業をおこなっている。エネルギー事業は石炭平均価格が前年同期比で+30%くらい上昇している。さらに、オーストラリアドルが前年同期の72.8円→82.4円と+13.1%ほど円安に振れ、その結果、円ベースでの売上高・利益が大きく増えている。仕組みとしては三井松島オーストラリアはオーストラリアドル建てで決算をするため、円安に換算するため表面上の利益が大きく増える仕組みだ。

 エネルギー事業で注意すべき点は、豪州リデル炭鉱は2024年3月期中に終掘を予定しており、石炭事業の追い風がやむことは見えていること。それ以降のエネルギー事業がどうなるかわからないが、三井松島としては石炭生産事業がゼロになる前提で2024年度以降の事業計画を練っている。

■石炭以外の事業は?

 生活関連事業は、日本ストロー株式会社、「オーダースーツ」のの花菱、半導体等の回路パターンを描画するための素材であるマスクブランクスの製造販売メーカー、水晶デバイスの三生電子など、いずれもM&Aで事業を取得している。三井松島は衣料、電子部品、事務機器、ペット分野など多角的に事業領域を拡大。

 いまの好業績はコロナ禍のサプライチェーンの分断による電子部品材料の供給不足による価格高騰が三井松島の業績を後押ししている。

■そもそも石炭とは?

 石炭は石炭火力発電所で発電時に使用する。また、鉄の精製時に鉄鉱石、コークス、石灰石が材料になり、コークスの材料が石炭となっている。石炭を高温で蒸し焼きにすることで、コークス・軽油・タールなどが副産物ででる。

■著名投資家の井村氏の狙いは?

 元お笑い芸人で著名投資家の井村氏は三井松島の5.22%を保有し、合計で9.3億円を投資している。井村氏はSaaS銘柄を中心に投資してきたと思われるが、グロース銘柄の株価が高騰していたため、バリュー銘柄である三井松島に切り替えたと思われる。

 狙いとしては、世界的な量的緩和政策によるインフレ圧力を見越したエネルギー銘柄である点と電子部品の価格高騰を狙った可能がある。著名投資家の井村氏が投資する銘柄であることが公表されており、個人投資家も次々と投資していると思われ、株価の上昇がつづいている。

■三井松島の株価の行方は?

 三井松島の時価総額は約280億円。株価指標的には割安だ。予想配当利回りも3.8%と高い水準となっている。ただし、三井松島は2024年度に石炭生産事業を終了するため、事業価値が大きく落ちることが見えている。これまでは、その見通しを織り込んだ株価になっていたと思われる。それを見越して、これまでM&Aを繰り返し、「のれん」は100億円ほど計上されている。

 今後の三井松島の株価はどうなるのか?三井松島のM&Aはいろいろな事業を買収しており、若干寄せ集め感がある。似たようなケースではノーリツ鋼機が参考になるだろう。M&Aを活用してノーリツ鋼機のように投資ファンド的な企業になっていく可能性はある。ノーリツ鋼機の2021年12月の売上高は753億円、営業利益107億円、時価総額は760億円。これを参考に考えると、三井松島もここから2倍~3倍に株価が上昇する可能性はある。ただし、リスクとしては井村氏が株を売却すると株価が急落する可能性があることを忘れてはならない。

(画像1)三井松島ホールディングスの株価推移

以 上

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