モバイルオンラインゲームの「スタンドマイヒーローズ」や「魔法使いの約束」など女性をターゲットとしたスマホゲームを展開しているcoly。若い女性の経営者(しかも双子)が経営しており注目を浴びるものの、前期はヒット作に恵まれず苦戦中。株価も上場時から下落がつづいており、いまは踏ん張りどころ。
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■基本情報(2023年5月2日時点)
- 株価:1,110円(10年来高値:9,890円)
- 時価総額:61億円
- 予想PER:12.2倍
- PBR:0.92倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:91.1%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:2,718人(2023年1月31日時点)
■colyの業績は?
colyの2023年1月期の売上高は55.4億円(前年比△15.1%減)、営業損益△2.1億円(前年は+15億円の黒字)と減収赤字転落となった。colyの売上総利益率は+38.6%(前年は+50.7%)と悪化している。
colyの売上総利益は前年33.1億円→21.4億円と△11.7億円の減少、販管費は前年18.1億円→23.5億円と+5.4億円の増加となり、差し引きすると△17億円のマイナスとなった。人員が増えているものの、売上高が増えていないため売上原価が増えたことが要因だ。
■販管費の内訳は?
colyの従業員数は435名(正社員:330名、アルバイト他:105名)となっている。colyの作品のファンが希望して働くケースが多く、採用に苦戦する企業と異なり、従業員の採用には困っていない。女性社員比率は全体の70%と多く、女性にとって働きやすい会社かもしれない。社長・副社長ともに女性で姉妹で運営している。
販管費をみると、広告宣伝費はそれほど投下しておらず、従業員増による人件費が販管費を押し上げている。colyの2020年1月の従業員数は200名、2021年1月は236名、2022年1月は338名、2023年1月は435名とこの2年で大きく増えている。
有価証券報告書をみると、給与・賞与は前年の2.7億円から6.1億円に大きく増えている。ただ、従業員数だけでは説明できない伸びであるのは気になる。従業員の平均年齢は30歳(前年は29歳)、平均年収は455万円(前年は459万円)。研究開発費などとの入り繰りがあると思われる。
■colyの財務状況は?
colyの業績についてはヒット作がでるかどうか。言い換えると、現状の事業状況を分析しても、株価が上がる要素があるか=ヒット作が生まれるか?はわからない。よって、財務状況を分析して、いまの株価が割安か、割高かを考えるのが適切だ。
colyの2023年1月末時点の財務諸表をみると、現預金は61億円、商品1億円でソフトウェア勘定にも残高がほとんどない。有利子負債はゼロで、キャッシュリッチの会社だ。言い換えると、現預金を61億円を持っているにもかかわらず、時価総額が約60億円のため、事業価値がゼロ評価されている状態。
colyのキャッシュフロー計算書をみると、営業CFは△6.8億円と法人税等の支払い△3.1億円の影響が大きい。投資CFは△1.1億円、財務CFは△3百万円となり、現預金は△8.0億円の減少となった。
■colyの株価推移は?
colyの時価総額は61億円。株価チャートをみると上場時から右肩さがりとなっており、これまで投資した人はほとんどの人が含み損を抱えている状態。とにかく、何かヒット作がでないと、株価は動かない状況だ。
2023年4月28日にフジテレビと協業で『永久少年Side Project -トワイライトなスピカ-』というオーディオノベルゲームをリリースしている。ただ、契約関係が不明であるものの、シナリオ買い切り形式の課金であり、大ヒットするような作品ではないと思われる。
以 上