健康食品・化粧品などを扱い、最近ではオンライン診療・服薬指導に力を入れているジェイフロンティア(JFRONTIER)。2023年5月期の業績計画は売上高167億円(前年比+40.4%増)、営業損益△20.3億円とアグレッシブな計画になっている。そこでキーとなるのはオンライン診療・服薬指導の「SOKUYAKU」だ。今後の業績と株価の行方は?
健康食品とヘルスケアのジェイフロンティア、オンライン診療に注力!?(2022年2月12日投稿)
■基本情報(2023年1月27日時点)
- 株価:2,315円(10年来高値:4,700円)
- 時価総額:113億円
- 予想PER:ー(赤字予想)
- PBR:2.72倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:50.9%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:2,149人(2022年5月31日時点)
■ジェイフロンティアの業績は?
ジェイフロンティアの2023年5月期の第二四半期の売上高は91億円(前年同期比+132.7%増)、営業損益は△3.7億円(前年同期は+2.6億円の黒字)と大幅増収・赤字転換となった。ジェイフロンティアの売上総利益率は+36.9%(前年は+73.3%)と半分以下に悪化。売上高の構成が大きく変わったことが大きな要因だ。
ジェイフロンティアの売上総利益は33.6億円(前年は28.7億円)と+5億円の増加であるものの、販管費は37.3億円(前年は26.0億円)と11億円強の増加となった。その結果、営業利益は赤字転落となっている。販管費では広告宣伝を大きく投入していることが理由と思われるが詳細は不明だ。
■ジェイフロンティアの事業状況は?
ジェイフロンティアは、メディカルケアセールス事業として「SOKUYAKU」というオンライン診療・服薬指導のビジネスに力を入れている。また、医薬品のD2C(直接販売)もあり、41.7億円の売上高となっている。いっぽう、全体の業績の足を引っ張っており、営業損益は△4.1億円の赤字となっている。
ヘルスケアセールス事業は、ダイエット食品などの健康食品の販売で売上高は20.2億円、営業利益は2.7億円の黒字。ヘルスケアマーケティング事業は売上高29.1億円、営業利益は55百万円とギリギリ黒字となっている。
■とにかく力をいれている「SOKUYAKU」!
ジェイフロンティアは今、「SOKUYAKU」というオンライン診療・服薬指導のサービスに力を入れている。提携している病院・薬局は合計で7,901件、会員は83万人とこの1年で7倍くらい増加している。今期から積極的な広告宣伝が寄与している。
「SOKUYAKU」はオンラインで診療ができたり、薬局に行かずとも薬を郵送してもらえるサービスだ。新型コロナウイルス感染拡大などもあり、今後のサービスの拡大に期待が集まる。たしかに病院が不足する地域などで大きな需要が見込め、医療格差の是正などメリットも大きい。
日本ではオンライン診療・服薬指導の規制緩和が2018年から進み、オンライン診療を導入しやすい環境が整ってきた。しかしながら、いまだに病院には「通う」という慣習が根強く残り、これから期待されるサービスとしえジェイフロンティアに期待がある。
いっぽう、エムスリー、メドレー、メドピアなどの他のヘルスケアIT企業もオンライン診療に参入しており、競争が激化することは見込まれ、そのなかでジェイフロンティアが生き残れるか見えない部分がある。ジェイフロンティアのマネタイズとしては、1回あたりの利用で150円の手数料を徴収する。ゆくゆくは病院、薬局、企業、自治体からシステム利用料などを徴収したり、広告運用を請け負う計画をかかげている。
オンライン診療(遠隔医療)のメドレー、年平均成長率30%を目指すヘルスケアIT企業!(2021年1月23日投稿)
■ジェイフロンティアの財務状況は?
ジェイフロンティアの2022年11月30日時点の財務諸表をみると、現預金は29億円、棚卸商品は8.2億円、のれん16.5億円が計上されている。いっぽう、有利子負債は約16億円ほどと健全なレベル。
また、UBSに対して20億円の新株予約権を発行しており、「SOKUYAKU」拡大に向けた資金は手当て済みだ。
■ジェイフロンティアの株価推移は?
ジェイフロンティアの時価総額は約110億円。いまの株価が安いか、高いかは不明だ。ジェイフロンティアの株価を考えると、「SOKUYAKU」が成功するかどうかにかかっていると言えるだろう。普通に考えると、世の中でオンライン診療・服薬指導が普及することは見えており、その競争のなかでジェイフロンティアが勝ち残れるかにかかる。
競合他社であるエムスリーやメドレーなどは資金も人材も豊富。いっぽう、ジェイフロンティアは2008年6月設立。従業員数は369名であるものの、ここ数年の買収による増加が大きい。平均年齢37.2歳、平均年収603万円と給与水準は低くないものの、すぐれた人材をどこまで獲得できるか、競合に勝てるか不明な点もある。2025年5月期に売上高300億円、営業利益25億円、営業利益率8%を目指す。利益率がそれほど高くないことが気になる。