オフィスデザインやウェブデザインなどのブランディングサービスや「The Place」というシェアオフィスを提供しているヴィス(Vis)。社内の声とたしかなデータを用いた理想的な働く空間を提供しているヴィス。ワークデザインをキーワードに、働く場の価値提供で企業価値向上の支援をしている会社。
■基本情報(2024年1月5日時点)
- 株価:1,007円(10年来高値:1,284円)
- 時価総額:83億円
- 予想PER:9.2倍
- PBR:1.6倍
- 予想配当利回り:3.27%
- 自己資本比率:63.2%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:2,765人(2023年3月31日時点)
■ヴィスの業績は?
ヴィスの2024年3月期の第二四半期の売上高は64億円(前年比△6.8%減)、営業利益5.3億円(前年比△20.3%減)の減収減益。ヴィスの売上総利益率は+26.7%(前年は+25.7%)、営業利益率は+8.2%(前年は+9.6%)と粗利率は改善したものの、営業利益率は悪化となった。
ヴィスの売上総利益は前年の17.6億円→17.1億円と△0.5億円の悪化、販管費は前年の11.0億円→11.8億円と+0.8億円の増加となり、差し引きで△1.3億円の営業利益悪化となった。
客観的にみて、粗利率はそれほど高くないビジネスモデルであるものの、1ケタ後半の営業利益率を稼いでおり、それほど悪い利益構造ではない。しかしながら、営業利益率は2ケタほしいところ。
■ヴィスの事業内容は?
ヴィスは大阪の南堀江をベースに成長してきた企業。2020年3月に東証マザーズに上場し、現在は東証スタンダードに上場している。従業員数は2023年9月末時点で244名。2015年に上海市にデザイナーズオフィス業務を目的に進出したものの、2018年6月に事業清算している。
有価証券報告書をみると、従業員の平均年齢は32.8歳、平均年収は709万円とかなり高い水準だ。
ヴィスはたんなるデザイン会社だけでなく、企業価値向上をサービス提供する「ワークデザイン」をコンセプトに事業をおこなっている。通常のオフィスデザインの会社よりも幅広い範囲でコンサルティングやブランディングなどもサービス提供しているのが特徴だ。
■ヴィスの特徴は?
2019年~2022年の新規IPO企業のうち、94社(全体の約25%)をクライアントとしている。最近の上場企業は魅力的なオフィスというものも人材獲得の観点から重要で、ヴィスのこの領域での存在感がわかるだろう。
ヴィスの従業員数は244名。そのうち、63名はデザイナーだ。一級建築士は4名、二級建築士7名また宅建取引士が6名など有資格者も少なくない。
■ヴィスの財務状況は?
ヴィスの2023年9月末の財務諸表をみると、現預金は43億円、有形固定資産は23億円。負債は、有利子負債ゼロ、前受金が9.2億円となっている。財務的には健全だ。ヴィスは2020年3月25日に東証マザーズに上場し、上場時に約11億円の資金調達を受けている。
キャッシュフロー計算書を見ると、営業CFは+4.7億円、投資CFは△2.5億円、財務CFは配当金の支払いがあり△1.7億円となっている。企業規模にくらべて、現預金を過剰に持っている現金バランスだ。
■ヴィスの株価推移は?
ヴィスの時価総額は約83億円。上場時の初値は754円(公開価格820円)と公開価格を割れている。しかしながら、コロナ禍で大きく成長し、株価は上場時を上回る水準で推移している。
将来的には売上高240億円を目指しているものの、足元の年間売上高は約130億円と大きくギャップが空いている。すでに前年割れの売上規模であり、成長企業として位置付けるのは難しい。割高感はないものの、成長性が鈍化していることを考えると、なかなか株価は上がらないのではないだろうか。
以 上