歯科医院向けシステムの東和ハイシステム、ブレる売上高と利益!

 歯科医院向けシステムの電子カルテ統合システム「Hi Dental Spirits」やクラウド関係の「Clinic Smile」シリーズなどを展開している東和システム。従業員数143名。1978年設立の老舗企業でありながら、2020年12月25日にジャスダックに上場。株価指標的には割安感あるものの、成長性などの不透明感から株価は上場来最安値を更新中だ。

■基本情報(2022年2月10日時点)

  • 株価:2,029円(10年来高値:5,490円)
  • 時価総額:45億円
  • 予想PER:10倍
  • PBR:1.29倍
  • 予想配当利回り:3.84%
  • 自己資本比率:87.2%
  • 会計基準:日本基準

■東和ハイシステムの業績は?

 東和ハイシステムの2022年9月期の第一四半期の売上高は5.2億円(前年同期比△0.9%減)、営業利益76百万円(前年同期比△41.4%減)の減収減益。東和ハイシステムの売上総利益率は+73%(前年同期は+76.5%)、営業利益率は+14.8%(前年同期は+25%)と悪化傾向となった。

 売上総利益率の悪化と販管費の増加が営業利益の悪化につながっている。2021年9月期の業績は売上高・営業利益ともに堅調に伸びていたものの、今回の決算で成長鈍化などが一気に露呈した形だ。そもそも、四半期ベースの売上高推移をみると、安定したサブスクリプション型の事業モデルではなく、リース会社を通して歯科医院向けシステムのハードウェアとソフトウェアの両方を販売するビジネスモデル。なかなか、ビジネス内容がわかりにくい。

■東和ハイシステムの事業内容は?

 歯科医院向けシステムの販売をしているものの、ソフトウェアだけでなく、ハードウェアも販売している。主には歯科医院向けの予約管理システムという理解でよいだろう。商流としては、歯科医院はリース会社とリース契約を締結して、ハードウェアとソフトウェアの両方を東和ハイシステムから購入する仕組みになっている。

 売上高の大半はシステム売上となっているものの、「大規模診療報酬改定影響」という項目でフロー売上が発生しているものの、中身の説明はない。通常、システムを販売するケースではオンプレミス環境への導入またはクラウド環境によるサブスクリプション型の2つのモデルが多いものの、東和ハイシステムの事業モデルはいまいち見えない。

 2021年9月期からはオンライン売上高という新しい領域が発生しているものの、詳しい説明がなく売上高の種類の違いが投資家にはわからないのが実情だ。営業利益悪化のウォーターフローチャートをみると、「電子部品在庫積み増しによる原価増」で76百万円の悪化要因が明記されているので、システムだけでなく、ハードウェアも歯科医院に導入していると思われる。

■顧客数はほぼ横ばいに!

 東和ハイシステムの顧客数は2017年9月末の2,943医院から、3,130医院(2019年9月末)、3,134医院(2020年9月末)、3,142医院(2021年9月末)とほぼ横ばいになっている。今後の顧客拡大としては、東和ハイシステムは西日本(関西、四国、九州、中国地方)に強いため関東など営業活動を広げていくと思われる。

 今後の流れとしては、既存システム(オンプレミス環境)からクラウド型の「Hi Dentalクラウド統合システム」に移管(統合)していくと思われる。機能としては、スマホ予約、スマホ診療システム(スマホ問診、スマホ決済など)、経営分析システム、スマホ診察券などが搭載されている。

■東和ハイシステムの株価推移は?

 東和ハイシステムの時価総額は約45億円。株価指標的には割安だ。心配なのは成長性や収益性がさがっている点だ。決算説明資料やホームページをみると、老舗のシステム会社であり、クラウドやデジタルマーケティングなどそれほど得意なようには見えない。西日本を中心に営業拠点を設けて事業展開しており、なんとなく新しいビジネスモデルというより従来型のビジネスモデルを展開している企業と思われる。

 東和ハイシステムの予想配当利回りは高いものの、業績悪化の懸念もあり、ここから半値くらいまで株価が落ちる可能性があるので慎重な取引をしたほうが無難だろう。時代としては、パソコンやiPadなどで簡単に汎用的なハードウェアをつかって操作できる歯科医院向けのシステムが求められているものの、ハードウェアの販売がなくなると東和ハイシステムの売上規模が下がってしまうのではないだろうか?これまでの考え方を捨てて、新しいことにチャレンジできる企業だろうか?

(画像1)低迷する東和ハイシステムの株価推移

以 上

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