業務アプリのrakumo(ラクモ)、「Google Workspace」等を活用したビジネスモデル!

 クラウド上でカレンダー、ワークフロー(電子稟議)、経費精算、出勤管理などのグループウェアを展開しているrakumo(ラクモ)。コロナ禍によるDX(デジタルトランスフォーメーション)の追い風を受け、前年比+20%を超える成長をつづけている。クラウドITビジネスは高い売上総利益率で、一定の売上規模を超えると爆発的に利益が増えるのが特徴だ。rakumoはこれから利益が増えていく段階。rakumoの課題は引き続き売上規模を継続的に拡大できるかどうか。今後の業績と株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2021年2月19日時点)

  • 株価:2,121円(10年来高値:4,175円)
  • 時価総額:117億円
  • 予想PER:65.4倍
  • PBR:16.33倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:57.3%
  • 会計基準:日本基準

■rakumoの業績は?

 rakumoの2020年12月期の売上高は8.2億円(前年比+23.7%増)、営業利益1.3億円(前年比+446.3%増)の増収増益となった。rakumoは事業規模が小さいため、前年比での成長率はもう少しほしいところ。rakumoの売上総利益率は+58.4%、営業利益率は+16.3%。rakumoのクライアント社数は2,005社、ユーザー数は41.6万人、1社あたりの月額販売額は3.8万円で、いずれも上昇トレンドとなっている。rakumoの従業員数は約90名。

■rakumoのビジネス内容は?

 rakumoの売上高の約8割はSaaSサービス(インターネット経由でのソフトウェアのサービス提供)が占めている。rakumoは「Google Workspace」(Google社)というパッケージサービス(表計算、文書作成など)と連携させて機能を拡張させた「rakumo for Google Workspace」を提供している。「Google Workplace」のユーザー管理、認証、セキュリティを活用して業務アプリを展開する。もうひとつは、「Sales Cloud」(セールスフォースドットコム社)と連携させたrakumoのソフトウェアを提供している。

 SaaSビジネスは継続課金(サブスクリプション型)のビジネスで毎月、既存顧客からの使用料が安定的に入ってくることが魅力だ。新規顧客分は売上高の追加になる。最近はサブスクリプション型というよりリカーリングビジネスという言葉が使われることが多い。一般的なモノの販売であれば、毎月、あたらしい注文を受注しなければならないが、SaaSであれば職場の業務に組込まれているため、なかなか解約することができない。個人のスマホ契約などと同様だ。rakumoの解約率はだいたい1%前後で推移している。

■rakumoのビジネス構造は?

 rakumoは代理店販売と直接販売の2つの販売ルートを持っている。直接販売のルートはクライアント(顧客)からrakumoへのアプローチが必要となる。もう少しrakumoの事業規模が大きくなれば、広告宣伝費を投入して直接販売ルートを強化していくことが予想される。ほかのSaaSビジネスを展開している名刺サービスのSansan、クラウド会計のfreee(フリー)やマネーフォワード、「楽楽精算」のラクスなど積極的な広告宣伝で赤字を計上してきたものの、売上高の大きな増加を実現している。

■rakumoの顧客基盤は?

 rakumoを利用しているクライアント社数は2,005社。年間+20%を超えるスピードで顧客を増やしている。現在のrakumoの主要なクライアントとしては、損保ジャパン、テレビ東京、オープンハウス、mixi(ミクシィ)、クラウドワークス、HENNGE(へんげ)などがある。ちなみに、多くのクラウドサービスをまとめてシングルサインオンのサービスを提供するHENNGEはrakumoの3.5%の株を保有している。

■rakumoの株価の行方は?

 rakumoは成長初期のクラウド型ソフトウェアサービスを行っている会社。2020年3月のコロナショック後、クラウド型のITサービス企業の株価は大きく上昇し、赤字をつづけるfreeeの時価総額は約6,000億円、「楽楽精算」のラクスは時価総額3,000億円、グループウェアのサイボウズは約1,300億円となっている。rakumoは同じような時価総額を目指せる可能性はあるものの、これからどこまで成長できるか見えないことが投資のリスク。

 rakumoの商品(クラウドサービス)は、名刺を活用した販売促進サービスのSansan、ラクス、サイボウズなど競合他社が多い。しかも、業務アプリなどのソフトウェアは他社サービス(他社→rakumo)に切り替えるハードルが高いのが特徴だ。いまのrakumoの時価総額が割安・割高と判断するよりも、これからどこまで成長できるか期待にかけることになる。

 業務アプリ「スパイラル」を展開するパイプドHDは売上高62億円、営業利益13.9億円の事業規模であるが、rakumoとそれほど変わらない時価総額120億円。中小企業向けの営業支援クラウドサービスのナレッジスイート(売上高24億円)の時価総額は約40億円とrakumoより大幅に低い。まだ売上高が10億円を超えていないrakumoが成長鈍化となれば、時価総額30~50億円くらいまで株価が下落する可能性はあり、慎重な見極めが必要だ。

(画像5)rakumoの株価推移

以 上

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