クラウドカメラによる課金ビジネスを展開しているセーフィー(safie)。キヤノン、KDDI、NTT東日本、USEN、SECOMなどの大手と資本・業務提携をしている。市場シェアは56.4%とトップ。国内のネットワークカメラの潜在需要は2,800万台と見ていて、現在のセーフィーの課金カメラ台数は23.4万台。今後も伸びていく予想だ。セーフィーの業績と株価の状況は?
クラウドカメラのセーフィー、現場DXによる遠隔監視から人検知まで!(2023年6月18日投稿)
■基本情報(2024年2月22日時点)
- 株価:697円(10年来高値:4,000円)
- 時価総額:385億円
- 予想PER:ー(赤字予想)
- PBR:3.84倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:85.6%
- 会計基準:日本
- 株主数:7,458人(2022年12月31日時点)
■セーフィーの業績は?
セーフィーの2023年12月期の売上高は118億円(前年比+27.7%増)、営業利益△10.9億円(前年は△12.8億円)と増収赤字幅の縮小となった。セーフィーの売上総利益率は+48.0%(前年は+47.1%)と若干改善している。
セーフィーの売上総利益は前年の43.6億円→56.7億円と+13.1億円の増加、販管費は前年の56.4億円→67.6億円と+11.2億円の増加となり、差し引きで営業損益は+1.9億円の改善になったものの、引き続き赤字。
■セーフィーの事業状況は?
セーフィーはクラウドカメラのサブスクリプション型のビジネスをしている。課金カメラ台数は前年の18.6万台→23.4万台と+25.8%増加となったものの予想未達。しかしながら、サブスクリプション型のサービスのため、安定した成長であることが力強い。カメラ1台あたりの年間売上高は4.0万円と高い(月間で約3,000円くらい)。
セーフィーの売上高の内訳をみると、リカーリング(サブスクリプション型など)が約68%、スポット(工事など)が32%となっている。リカーリング比率が若干下がってきている。
セーフィーの売上総利益率は2020年度は約35%前後で推移し、そこから約50%くらいまで上昇し、現在は47%前後で推移している。売上総利益率の改善は課題の1つ。
■今後のカメラビジネスは?
スマホなどのカメラの解像度が大きく改善し、カメラのハードウェアとしての付加価値が小さくなっている。いっぽうで、クラウドカメラや分析、改善につなげるソリューションに今後は価値が認められる世の中になってくるのではないだろうか?
セーフィーに期待されるのは、分析・定量化など顧客の課題をクラウドカメラでいかに解決できるかという点だ。たとえば、小売では万引きの防止が課題の1つ。クラウドカメラでどのようなソリューションを提供できるか。小売の店舗はさらなる省人化の運営になり、無人店舗なども出てくるだろう。防犯、万引き防止などいかに課題を解決するか。24時間フィットネスクラブでもクラウドカメラが重要だ。
建設現場などではSafie Go 360という遠隔施工管理の方向に進んでくる。沿革から施工の様子を録画して、進捗や施工の無駄を管理する現場DXが進化するのではないだろうか。
■セーフィーの企業状況は?
セーフィーの従業員数は434名、そのうち営業・マーケティングが238名、開発・企画が146名と多い。従業員数は2023年1月は353名だったものの、現在は434名と1年間で+80名の増加。従業員1人あたりの年収は約650万円であり、人件費は会社負担など除き約28億円(売上高の約23%)。
■セーフィーの財務状況は?
セーフィーの2023年12月31日時点の財務諸表をみると、現預金は72億円、商品は9.7億円、投資有価証券12.4億円。負債をみると、有利子負債は約95百万円のみで、ほかに目立った負債はない。利益剰余金は△36.4億円であるものの、純資産は100億円と健全だ。
セーフィーは2021年9月29日に東証マザーズに上場。上場時の初値は3,350円(時価総額:1,646億円)で現在は4分の1くらいまで株価は下落している。上場により、約90億円を市場から調達している。
■セーフィーの株価推移は?
セーフィーの時価総額は約400億円。事業内容は今後も伸びていくと思われる。2026年12月期に黒字を予定しており、言い換えると、今後2年間は引き続き赤字が予想される。事業内容や利益モデル的に魅力度が高く、上場時に期待が大きすぎた反動で、現在は株価が低迷している。5~10年くらいの長期で考えると魅力的な銘柄だ。
以 上