クラウドカメラによる課金ビジネスを展開しているセーフィー。キヤノン、KDDI、NTT東日本、USEN、SECOM(セコム)など大手と提携し、2023年3月末の課金カメラ数は19.5万台まで増加。クラウドモニタリング・録画サービスの市場シェアは56.4%とシェアNo.1。直販やパートナー経由で課金カメラを提供し、リカーリングビジネスで稼ぐ事業モデル。今後の業績と株価の行方はどうなるのか?なお、セーフィーの従業員数は337人、平均年齢34.8歳、平均年収は659万円だ。
■基本情報(2023年6月16日時点)
- 株価:841円(10年来高値:4,000円)
- 時価総額:458億円
- 予想PER:赤字見通し
- PBR:4.13倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:88.0%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:7,458人(2022年12月31日時点)
■セーフィーの業績は?
セーフィーの2023年12月期の第一四半期の売上高は25.3億円(前年同期比+9.6%増)、営業損益△1.8億円(前年同期は△2.2億円)と増収赤字継続。セーフィーの売上総利益率は+50.8%(前年同期は+43.1%)と+7.7ポイントの改善。
セーフィーの売上総利益は+12.8億円、販管費は14.7億円で差し引き△1.8億円のマイナス。セーフィーの販管費のなかで、広告宣伝費がどこまで入っているか不明であるものの、どこかで売上総利益と販管費の逆転を起こす計画は必要だ(2022年度の広告宣伝費は年間8.0億円)。
■セーフィーの事業内容は?
セーフィーはクラウドカメラを販売することで、モニタリングや録画サービスなどの付加価値を提供するクラウドカメラ事業を行っている市場シェアNo.1の企業。ただ、市場自体がまだ新しく、どこまで市場が伸びていくか見極める必要がある。現在の課金カメラ台数は19.5万台で、ここ3年くらいで急激に伸びたイメージを決算説明資料で共有している。
セーフィーの大手企業の顧客は、ユニクロ、GU、ベルク、はるやまホールディングス、オートバックス、ソフマップ、焼肉ライク、ドトール、三井不動産、大東建託、関西電力、東京ガスなど。かなり幅広い業界で使われている。
■主力製品は?
セーフィーはSafie Proというクラウド監視カメラとSafie GO/Pocketという現場でウェアラブルで撮影・録画するカメラの2つがメイン製品。全体の約8割はSafie Proだ。セーフィーはリカーリングビジネスと言っているものの、課金制のサブスクリプションモデルが実態だろう。月次の解約率は1.0%前後となっている。
なお、セーフィーの現在の課金カメラは19.5万台であるものの、将来的な潜在市場は約2,800万台と見込んでいる。同業他社の参入もあるだろうから、どこまで市場が広がるか不明であるものの、世の中の人流データやオフィスの混み具合など、クラウドカメラで可視化されることは増えていくのは間違いないだろう。
■セーフィーの財務状況は?
セーフィーの2023年3月末の財務諸表をみると、現預金は80億円、商品14億円、投資その他の試算が15億円。負債をみると、有利子負債は約1億円くらいであり、財務的には健全だ。自己資本比率が88%あり、豊富な自己資本がある。なお、これまでの利益剰余金は△23.9億円のマイナスとなっている。
セーフィーは2021年9月29日に東証マザーズに上場。上場時の公開価格は2,430円(時価総額:1,036億円)、初値は3,350円(時価総額:1,646億円)。上場により約90億円ほど資金調達している。現在の株価が800円台のため、含み損を抱えている株主は少なくないだろう。
■セーフィーの株価推移は?
セーフィーの時価総額は約460億円。成長段階であり、株価が妥当かどうか判断できない。心配なのは前年同期での成長率が1ケタ台になっている点だ。純資産が約110億円あるため、ここから時価総額が100億円を下回る可能性は少ないものの、事業の状況次第では株価は半値になるリスクはある。競合他社ではセキュアなどが伸びている。
監視カメラシステムと入退室管理システムのセキュア、どこまで市場が伸びるか?(2023年5月28日投稿)
以 上