監視カメラシステムと入退室管理システムのセキュア、どこまで市場が伸びるか?

 監視カメラシステムや入退室管理システムなどのセキュリティソリューションを提供しているセキュア(SECURE)。テクノロジーの発展で、デジタルで人の行動を管理することが進んでいる。大手企業を中心にオフィスへの入室は権限のある人しか入れない仕組みになっていく方向だ。今後のセキュアの業績と株価の行方は?

■基本情報(2023年5月26日時点)

  • 株価:2,213円(10年来高値:3,100円)
  • 時価総額:104億円
  • 予想PER:109.9倍
  • PBR:10.71倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:34.4%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:1,900人(2022年12月31日時点)

■セキュアの業績は?

 セキュアの2023年12月期の第一四半期の売上高は14.6億円(前年同期比+80.2%増)、営業利益1.5億円(前年同期比+4.7倍)の増収増益。セキュアの売上総利益率は+39.2%(前年は+44.5%)、営業利益率は+10.4%(前年は+3.2%)。

 セキュアの売上総利益は前年3.6億円→5.7億円と+2.1億円の増加。販管費は前年3.3億円→4.2億円と+0.9億円の増加となり、差し引きで+1.2億円の改善となった。売上総利益率はそれほど高くないものの、成長性が高く、一気に企業価値が変わりそうな成長企業であることは間違いない。

■セキュアの事業内容は?

 セキュアは2002年10月設立の会社で、設立後数年という会社ではない。従業員数は127名、国内8拠点、韓国に子会社が1社ある。セキュアはソフトとハードを組み合わせたセキュリティソリューションを提供している会社だ。

 主な製品は監視カメラシステム(SECURE VS)が全体の売上高の67%、入退室管理システム(SECURE AC)が全体の売上高の約30%となっている。残りは画像解析サービスで人流などを分析する仕組み。いま売上高がもっとも伸びているは、監視カメラシステムで前年同期比+93.1%増となっている。

■なぜ伸びているのか?

 過去の業績の推移をみると、2021年度と2022年度はほぼゼロ成長だったが、今回の第一四半期で前年から倍増の勢いで売上高が増えている。増加要因をみると、データセンター、大学、物流施設への領域拡大が順調、2023年1月に開設した大宮・横浜拠点ともに受注が好調とのコメントがある。

 しかしながら、本当に受注が好調なのか、たまたま受注がかたまっているのか見極める必要がある。セキュアは2021年12月に東証マザーズに上場した会社であり、上場直後の会社の業績予想や実績は大きくブレることも多い。

 気になるのは、第一四半期が前年比+80%の売上高であるものの、上方修正した2023年12月期の業績予想の売上高は前年比+30%増にとどまっている。こういう場合は、同業他社の業績をウォッチする必要がある。

■主力の監視カメラシステムの競合は?

 監視カメラシステムの競合としては、パナソニック、ソニー、東芝、三菱電機などあるものの、現在のクラウド型のものであればセーフィーという2014年10月設立の会社が業界トップと思われる。たしかに、セーフィーの成長率は前年比+25.5%と高いものの、セキュアの監視カメラの成長率(前年比+93%)は行き過ぎな気がする。

 なぜなら、企業は導入時に相見積もりを実施するのが通常であり、監視カメラシステムの市場が伸びていれば、相当の優位性がないかぎり、ほぼ同じような成長率になると考えるからだ。もしかすると、セキュアには何か差別化要素があるかもしれないものの、決算説明資料からは読み取れなかった。

■セキュアの財務状況は?

 セキュアの2023年3月31日時点の財務諸表をみると、現預金は8.2億円、商品5.7億円、有形固定資産はそれほど保有していない。いわゆる、ファブレスメーカーである。有利子負債は約9億円あり、売上増にともなう要因だと思われる。財務的には、それほど安全性が高い状況ではない。

 セキュアの過去からのキャッシュフロー計算書をみると、営業CFはほぼマイナスが継続、投資CFと合わせたフリーキャッシュフローはほぼ赤字が続いており、銀行借入やIPO(上場)による資金調達でなんとか資金繰りをつないでいる状況だ。

■セキュアの株価推移は?

 セキュアの時価総額は約100億円。上場来安値からすでに株価は3倍以上に上昇している。グロース銘柄にありがちな成長感があるという雰囲気で株価が上昇しているイメージだ。本当に前年比+80~100%増のペースで成長できる競争力があるのであればよいものの、セキュアの実力については、もう少し見極めが必要だ。

(画像1)セキュアの株価推移

以 上

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