スマートフォン向けのニュースアプリ「グノシー」「ニュースパス」「LUCRA」やゲーム攻略wikiの「game8.jp(ゲームエイト)」を展開しているGunosy(グノシー)。業績の不振がつづき、2021年5月期の業績予想を大幅に下方修正している。ニュースアプリでは「スマートニュース」に大きく引き離されており、挽回の目途は見えない。Gunosyの業績と株価の行方はどうなるのか?
スマホ向けニュース配信アプリを展開するGunosy(グノシー)、停滞する成長の先は?(2020年5月31日投稿)
■基本情報(2021年4月9日時点)
- 株価:832円(10年来高値:3,650円)
- 時価総額:199億円
- 予想PER:77.3倍
- PBR:1.76倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:86.4%
- 会計基準:日本基準
■Gunosyの業績は?
Gunosyの2021年5月期の第二四半期の売上高は42.9億円(前年同期比△43.4%減)、営業利益3.8億円(前年同期比+139.9%増)の減収増益となった。Gunosyの売上総利益率は+42.4%(前年同期は+42.8%)、営業利益率は+8.8%(前年同期は+2.1%)。ニュースアプリの「グノシー」などに配信するアドネットワークサービス(広告配信)の収益が大幅に落ち込んでいることが売上高減の大きな要因だ。
「グノシー」などのニュースアプリを利用したことがある人は体感したことがあると思うが、大量の広告がプッシュ型で配信されると、そのニュースアプリの使用をやめてしまうはずだ。広告配信が面倒くさいからだ。むしろ、「スマートニュース」や「ヤフーニュース」などの他のニュースアプリを使用することを選択するキッカケになる。
■Gunosyの売上高構成推移は?
Gunosyの売上高悪化の大きな要因はアドネットワーク(ADNW)、そしてGunosy Adsの減少だ。アドネットワークは、ニュースアプリ使用者の興味・関心を分析して、それにマッチした広告配信するビジネス。Gunosy Adsは「グノシー」や「ニュースパス」などの広告枠の販売だ。ここ数年のアプリビジネスは上昇トレンドにはいったときは爆発的に業績は伸びるものの、ユーザーが離れるときのスピードも早い。料理レシピサイトを展開するクックパッドなども一時は人気を集めたものの、最近ではユーザー離れや競合他社の台頭で苦戦している。
■期待されるKDDIとの協業は?
GunosyとKDDIはすでに「ニュースパス」で協業している。開発・運営はGunosyが行っている。新しい協業メディアもGunosyとKDDIが協力するという前提であるものの、実質的にはGunosyが主導するものと思われる。KDDIは通信キャリアサービスだけでなく、周辺ビジネスに力をいれている。KDDIの持つ顧客基盤をつかって、Gunosyがどこまで競争力のあるアプリを作成できるか。
GunosyとKDDIの付き合いは古く、2014年にKDDIはGunosyに対して約14億円の出資をしている。その時からの関係もあり、ニュースアプリ開発をGunosyに託している。
■Gunosyの株価の行方は?
Gunosyの株価チャートを見ると、株価は下がり切ったように見える。Gunosyは業績の下方修正を実施しており、株価指標的には今も割安感はない。前年対比でマイナス成長となっており、グロース株という位置づけではない。幸い、Gunosyの自己資本比率は85%を超えており、手元現金約90億円を持つ無借金企業。しかしながら、前年比での成長が見えないなか、積極的に投資する段階ではない。もう少し様子見が無難だろう。
以 上