バイクの中古を卸売(ホールセール)でオークションで販売したり、リテール店舗で販売しているバイク王&カンパニー(以下、バイク王)。1998年9月設立、従業員数991人のバイクを中心に事業をしている会社。コロナ禍でアウトドアのバイク需要が一気に伸び、コロナ特需となった。いっぽう、新型コロナウイルスの位置づけが2023年度から変わり、一気に向かい風のマーケットに変化。バイク王の業績と株価はどうなるのか?
■基本情報(2023年4月7日時点)
- 株価:839円(10年来高値:1,917円)
- 時価総額:128億円
- 予想PER:7.9倍
- PBR:1.72倍
- 予想配当利回り:3.57%
- 自己資本比率:60.4%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:5,360人(2022年11月30日時点)
■バイク王の業績は?
バイク王の2023年11月期の第一四半期の売上高は78.2億円(前年同期比+12.6%増)、営業利益は57百万円(前年同期は2.5億円)の増収減益。バイク王の売上総利益率は+35.8%(前年同期は+41.5%)、営業利益率は+0.7%(前年同期は+3.6%)と大きく悪化。
バイク王の売上総利益は前年の28.8億円→28.0億円と△0.8億円悪化し、販管費は前年の26.3億円→27.4億円と+1.1億円の増加となり、差し引きで営業利益は約1.9億円の悪化となった。決算説明資料をみると、販売台数は大きく増加したものの、販売単価が下落、いっぽうで仕入単価が高止まりしていることが大きなマイナス損益の要因だ。
■バイク王の事業内容は?
バイク王は中古バイクをオークションなどのホールセール(卸売)で販売したり、リテール(一般消費者向けのバイク店)で販売したりしている。売上高の約6割はホールセール、残りの約4割がリテールとなっている。テレビCMなどの影響でバイク王はリテールのイメージが強いものの、バイクオークションで稼ぐほうが売上比率が高い。
バイク王は全国に72店舗のリテール店舗を展開している。関東エリアがもっとも多く29店舗、近畿エリアが14店舗となっている。また、物流センターを横浜、神戸、寝屋川(大阪)に持っている。
在庫としては大体1万台のバイクを保有しており、原付バイクが全体の約半分を占めている。新車も販売しており、新車は全体の1割程度にとどまる。
■コロナ禍での業績好調とその反動!?
バイク王はコロナ禍でアウトドアの人気が高まり、バイク特需が発生。また、インフレの影響を受けて販売単価が大きく高騰したことにより、安く仕入れていたバイクが高値で売れる好循環をむかえた。これは中古バイクだけでなく、中古四輪車を販売するネクステージやグッドスピードなどの中古車販売店も同様の状況だった。
中古車の価格下落が直撃、ネクステージの利益率が大きく悪化!(2023年4月9日投稿)
SUVに力を入れた中古自動車販売のグッドスピード、赤字からの脱却は?(2023年2月23日投稿)
ところが、世界的にアフターコロナとなり、新車生産も復調し、中古車の販売価格が下落している。いっぽうで、中古車の仕入れ値が下落せず、バイク王の粗利が大きく悪化している状況にある。
■バイク王の財務状況は?
バイク王の2023年2月末時点の財務諸表をみると、現預金は21.1億円(2022年11月30日時点:27.7億円)、商品は55.0億円(同:58.3億円)。いっぽう、有利子負債は13.8億円(同:13.3億円)と有利子負債は増加している。
財務的には健全であるものの、商品である中古バイクの販売価格が下落すると、評価減などを計上する必要も出てくるかもしれない。
■バイク王の株価推移は?
バイク王の時価総額は約130億円。コロナ前は時価総額20~30億円くらいで推移しており、一時は時価総額250億円くらいまで上昇し、株価上昇10倍を達成。今後は反動で大きく下がるリスクがある。
バイク王の2023年11月期の第二四半期の業績見通しは、売上高167億円、営業利益9.7億円、通期は売上高345億円、営業利益19億円を計画。しかしながら、足元の状況を考えると、次の決算時には下方修正する可能性は高いだろう。中古車の価格が一時的にバブルで上昇し、いまは通常の需要に戻ったようなもの。
バイク王の決算説明資料で気になったのは、従業員数が前年同期で+31名増えているものの、人件費が10.1億円→10.1億円と変動していないこと。業績が好調であるものの、給与を上昇できないのは悩ましい。なお、バイク王の従業員は平均年齢34.2歳、平均年収は418万円とそれほど高くない。
以 上