日本気象協会より気象予報の提供を受けて、天気予報専門メディア「tenki.jp」を運営しているALiNKインターネット(以下、ALiNK)。従業員数は2021年2月末時点で17名。「tenki.jp」はALiNKと日本気象協会(一般財団法人、従業員数約800名)が共同運営しており、収益の49.5%をALiNKが受け取り、50.5%を日本気象協会が受け取っている。ALiNKの役割としては、Webサイト・アプリの企画・設計とマネタイズの運用だ。ALiNKの業績と株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2021年7月2日時点)
- 株価:1,985円(10年来高値:5,340円)
- 時価総額:42億円
- 予想PER:42.3倍
- PBR:2.87倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:93.4%
- 会計基準:日本基準
■ALiNKの業績は?
ALiNKの2021年2月期の売上高は6.1億円(前年比△17.9%減)、営業利益2.2億円(前年比△36.3%減)の減収減益となった。ALiNKの売上総利益率は+75.7%(前年は+86%)、営業利益率は+36.6%(前年は+47.1%)と高水準を維持しているものの、売上高減により営業利益が減益となった。
2021年2月期は台風・大雨などの悪天候の発生が少なかったため、「tenki.jp」のアクセス数(PV数)が46.7億PV(前年は47.9億PV)と△2.6%の減少となったことが大きい。加えて、新型コロナウイルスの影響により広告単価の減少も収益に大きなマイナス影響となった。
2期前の2019年2月期の売上高は6.9億円、経常利益3.4億円だったことを考えると、一時的な広告単価の落ち込みが要因か見極めが必要になりそうだ。
■ALiNKの事業モデルは?
ALiNKの事業モデルは、日本気象協会より気象情報データを入手して、「tenki.jp」に掲載して広告収入を得るというもの。競合他社としてはウェザーニューズが運営している「ウェザーニュース」が該当する。
AIを活用した気象予測のウェザーニューズ、船舶・航空・陸上からスポーツまで!(2021年7月3日投稿)
「tenki.jp」の広告収入のうち、49.5%をALiNKが受け取り、残りの50.5%を日本気象協会が受け取っている。その他にも有料会員サービスとして「tenki.jp登山天気」という山の天気予報アプリを展開している。
「tenki.jp」の掲載情報としては、国内外の天気予報、雨雲・アメダスなどの観測、花粉飛散情報、桜開花情報、熱中症情報、指数情報(服装、洗濯、紫外線など)、気象・天気に関するさまざまな情報だ。
■ALiNKの株価の行方は?
ALiNKの課題は成長戦略だ。「tenki.jp」はすでに年間PVが45億PVを超えるもの。ここからPVを伸ばして広告収入を増やしていくことは簡単ではない。新規事業の展望が見えないと、高収益企業であるものの、年間売上高10億円を突破することはむずかしい。
言い換えると、日本気象協会と協力した新規事業を打ち出すことができれば、売上高10億円突破が見えてくるかもしれない。最も心配なリスクは、日本気象協会との関係悪化だ。ALiNKにとって日本気象協会があってこそのビジネスモデル。「tenki.jp」の業務提携契約がどうなっているかわからないが、気象情報がなければ運営することができない。なお、日本気象協会のALinKへの出資比率は1%弱にとどまる。
以 上