「まんが王国」のビーグリー(3981)、違法サイト問題を乗りこえて好調!

 「まんが王国」「コミックevery」「ノベルバ」などの電子書籍ビジネスを中心に展開しているビーグリー。2016年以降の漫画の違法サイト(海賊版サイト)による影響を乗りこえて、現在の業績は絶好調がつづいている。新型コロナウイルスの影響により巣ごもり需要で電子コミックビジネスにはプラスに作用している。今後のビーグリーの株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2020年8月7日時点)

  • 株価:2,301円
  • 時価総額:142億円
  • 予想PER:23.2倍
  • PBR:2.73倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:63.6%
  • 会計基準:日本基準

■好調なビーグリーの業績推移!

 「まんが王国」などを展開するビーグリーの業績は絶好調だ。2020年12月期の第一四半期の売上高は26.8億円(前年同期比+8.9%)、営業利益は4.0億円(前年同期比+144.9%)と大幅な営業利益の増益となった。新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要もプラスに作用したと思われる。2017年~2018年にかけて違法サイトの「はるか夢の址」「FreeBooks」「漫画村」「星のロミ」などによる違法コンテンツ問題により、2017年~2018年のビーグリーの業績は大幅に悪化。株価もその間は下落トレンドがつづいた。2019年度から違法サイトの影響がはがれ、一気に回復している。

■電子書籍市場はコミック(漫画)が牽引!

 ビーグリーが主戦場としている電子書籍市場は成長をつづけている。その中でも、漫画(コミック)が電子書籍市場全体の約84%を占めていると言われている。2019年度の出版市場を見ると、小説や教養書などの文字モノの市場は約6,800億円(内、電子書籍は約350億円)と大きいものの、漫画(コミック)は市場規模約4,300億円(内、電子書籍は2,600億円)と電子書籍だけをみると圧倒的に市場規模が大きい、と出版科学研究所より公表されている。電子書籍の市場は、漫画(コミック)が新しい市場を牽引してつくっている状況だ。

■開示されていない売上高の内訳!?

 ビーグリーで気になるのは、「まんが王国」「コミックevery」などの電子書籍事業やゲーム事業の売上高の内訳が開示されていないこと。セグメント別の売上高、営業利益の内訳が開示されておらず、ビーグリー全体の状況しかわからない。おそらく、「まんが王国」が売上高、営業利益ともにしっかり稼ぎ、ゲーム事業は赤字ではないかと思われる。決算説明資料には具体的な開示はされてない。ただ、下記の開示資料をみるかぎり、現時点のゲーム事業の売上高はほとんどないと推測できる。

■「まんが王国」のアクティブユーザー数は100万人超!

 主力の「まんが王国」のアクティブユーザー数は100万人を突破。2020年4月~6月は新型コロナウイルスの影響により更に多くの新規ユーザーを獲得している可能性があり、次の決算発表のサプライズを期待してか足元の株価は上場来最高値圏まで上昇中。スマートフォンが行き渡り、携帯電話で家や電車など、どこでも漫画(コミック)を読むライフスタイルが一般的になってきている。

■ビーグリーの株価推移は?

 ビーグリーの株価は絶好調だ。現在の株価は2,344円(2020年8月7日時点)で、上場来最高値の2,545円が見えてきた。現在の時価総額約140億円を考えると、株価高騰の過熱感はまったくない。ビーグリーはコミック、小説、ゲームなどの既存のビジネスと映画、アニメ、グッズなどを組み合わせたコンテンツプラットフォームを構築することを計画している。その資金として50億円の投資資金を準備している。この構想の実現に向けた動き(M&Aや事業提携など)が投資家の期待をゆすぶるものであれば、更なる株価の上昇が見えてくるかもしれない。まずは次の決算発表を期待したい。

以 上

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