弁護士支援サービスなど弁護士、税理士など士業サービスを展開している弁護士ドットコム。弁護士ドットコムで伸びているのはオンライン契約サービスのクラウドサインだ。弁護士ドットコムの右肩あがりの業績を支え、サブスクリプション型で規模を確実に拡大させている。弁護士ドットコムの業績と株価の行方は?
電子契約「クラウドサイン」の弁護士ドットコム、月間サイト訪問者数は減少気味!(2021年5月9日投稿)
弁護士向け営業支援の弁護士ドットコム(6027)、株価は絶好調も過熱感!?(2020年6月14日投稿)
■基本情報(2022年6月10日時点)
- 株価:3,895円(10年来高値:15,880円)
- 時価総額:867億円
- 予想PER:115.1倍
- PBR:36倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:62.9%
- 会計基準:日本基準
■弁護士ドットコムの業績は?
弁護士ドットコムの2022年3月期の売上高は68.8億円(前年比+29.3%増)、営業利益11.4億円(前年比+560.2%増)の増収増益。弁護士ドットコムの売上総利益率は+84.2%(前年は+84.8%)、営業利益率は+16.6%(前年は+3.2%)と粗利(売上総利益)は高い水準で、固定費の増加がないため、営業利益が大きく改善した形だ。
■稼ぐクラウドサイン!
この業績を支えているのがクラウドサインと言えるだろう。クラウドサインは、スポット売上高(導入サービス他)+重量売上高(利用量に比例)+固定売上高(月額サービス料)の3つから構成されている。このうち、固定売上高が確実に増えているため、2021年4Qは売上高8.8億円となっている。
クラウドサインの売上高推移を見ると、19年1Qは1.2億円、20年1Qは2.6億円、21年1Qは5.8億円、21年4Qは8.8億円と大きく増加している。おそらく、新型コロナウイルス感染によるリモート勤務などの普及で、契約書にサインをするよりも、電子契約が普及した経緯がある。
■増えるクラウドサインの利用企業!
この電子契約の流れは止まらず、より進んでいくと思われ、弁護士ドットコムのクラウドサインの成長は間違いないと思われる。クラウドサインの契約送信件数(利用量)を公開しており、現在は21年4Qで132万件(20年4Q時は90万件)の利用となっている。
導入企業をみると、三井住友銀行、東京海上日動、野村證券、三菱地所、鹿島、トヨタ自動車、ドコモ、NTTデータ、関西電力、ソニー、リクルートなど日本を代表する企業が導入している。地方自治体での導入も進んでおり、東京都、茨城県、つくば市(茨城県)など導入が広まっている。
2022年6月からは関東、関西、中京エリアにてテレビCMを実施する予定。この広告費の規模がわからず、2023年3月期は利益の伸びはそれほどないかもしれないが、売上規模は大きく伸びるはずだ。
■弁護士ドットコムの株価推移は?
弁護士ドットコムの時価総額は約870億円。これから業績は間違いなく伸びるものの、株価が比例して伸びるかは別の話。すでに弁護士ドットコムの成長性はかなり織り込まれており、チャートを見ると、下落トレンドとなっている。クラウドサインが好調で将来的な利益は増えるものの、株価が素直に反映するかは未定だ。
将来的には売上高150億円、営業益30~50億円くらいは可能と考えるものの、PER30倍くらいで考えると時価総額600億円~1,000億円くらいがターゲットになる。いまから株価が2倍~5倍になるには、バブルの到来やグロース銘柄に資金が流れるマーケット全体の動きが必要だ。
以 上